銀河越年 ― 2021年12月31日 17時18分29秒
ゆく年や 尚(なお)ありありと 天の川
大晦日の深夜、冬の銀河は北西から南東にかけて、大空を貫いて流れます。
今宵も雲海の上に出れば、それがありありと眺められるでしょう。日付が替わり、年が替わろうとも、その流れは尽きることがありません。
作者は子規門の俊才で、郷里秋田で医業のかたわら、俳誌『俳星』に拠って活躍した石井露月(1873-1928)。
これを読んでただちに思い浮かぶのが、同じく子規門の高浜虚子(1874-1959)の有名な句です。
去年(こぞ)今年 貫く棒の如きもの
年の替り目にあたって、そこを貫く「変わらざるもの」を句にした点で両者は共通しています。それは時の流れのさらに向こうに潜む棒のごとき何かであり、天空の銀河によって象徴される何かです。
「天文古玩」も、その不変の何かに貫かれつつ新しい年を迎えます。
今年一年のご縁に感謝しつつ、どうぞ皆さま良いお年を。
(1950年に撮影された<棒渦巻銀河> NGC1300。
『The Hubble Atlas of Galaxies』(1961)より)
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