キーウだより(3)2022年05月09日 05時51分58秒

しばらく連絡の途絶えていたブセボロードさんから、久しぶりにメッセージが届きました。しかも嬉しいことに新作アストロラーベの写真を添えてです。そこには、「この新たなプロジェクトをどうしても自慢したかったものですから…」と書かれていました。

ブセボロードさんの無事を祝うとともに、こんなときに何ですが、このアストロラーベは入手可能なのか、つい聞いてしまいました。ブセボロードさんもそれを望んでいるように思えたからです。それに対する返信があったので、キーウの日常とともに、ここにご紹介しておきます。

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玉青さん、お気遣いありがとう。

最近のキーウは、ほとんど変化がありません。我々も今やインターネット・ニュースから情報を得ており、3月頃のように榴弾砲のうなりから学んでいるわけではありません。多くの避難民が町に戻り、車を駐める場所を見つけるのが再び難しくなっています。

最近の主な問題は、燃料の不足です。我が国の石油処理プラントは、開戦前にロシアの投資家が買収して結果的に操業停止に追い込まれて放棄されたか、開戦後にミサイルで爆撃されたかのどちらかで、しかもロシアの石油を処理していたベラルーシからの輸入もストップしたため、タンクを満たすのがだんだん難しくなっています。ガソリンを販売している店は、車が行列しているのですぐに分かります。今では電気自動車を持っていることが、大きなアドバンテージです。

私は市の郊外に当たる、ゴストメルとイルピンに数回出かけ、戦闘後の残骸処理の手伝いをしました。通りはガラス片、断熱材、壊れたタイル、電線、材木でいっぱいです。しかし今では旅行先も必要最低限のものに制限しなければなりません。

Vitaly〔アストロラーベの金属加工を担当していた職人さん〕もキーウに戻り、仕事に復帰しました。でも、まだ徴兵事務所でいくつか公的な手続きが残っています。

ご覧になったアストロラーベは、1月時点でエッチング済みの部品を使って組み立てたものです。もちろんお買い上げいただけます。その場合、早めにお届けする方が、後からそうするよりもずっと簡単です。

というのも、私は現在、一連の製造工程を復活させるために努力しており、今週中にも例のアストロラーベ用のものも含め、金属板のエッチングを発注する予定だからです。したがって全てがうまくいけば、そして途中で工房が爆撃されなければ、数週間以内にご用意できると思います。

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とりあえずホッとしました。
ブセボロードさんとそのお仲間が、再びアストロラーベ作りに取り組めるだけの日常がキーウには戻ってきたのかな…と思います。しかし戦況は依然不透明であり、この日常がいつまで続くか、予断を許しません。特に今日、5月9日はロシア側に何か新しい動きがあるのでは…と言われているので、何となく落ち着きません。

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