マッチ箱の友(後編)2022年08月28日 07時26分20秒

さて、マッチ箱の話のつづき。でも、今回とり上げるのは、マッチ箱そのものではなくて、あくまでも「マッチ箱の友」です。

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先日言及した家庭用の「並型マッチ」は、今でも地味に売られていると思いますが、あれをそのままポケットに入れると、つぶれてクチャクチャになりやすので、それを避けるために「マッチボックス・ホルダー」というものが使われました。

(大きさは52×38mm)

その実例がこれです。


金属の側(がわ)でマッチ箱を保護して、つぶれないようにしようというわけです。


マッチ箱を入れるときは、この穴のあいた面に、焦げ茶色の擦り紙(側薬)が来るようにして、ここでマッチをシュッと擦ります。

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改めて表面を見ると、細かい擦り傷がいっぱいあって、いかにも時代を感じます。素材はアルミ、そこに金色のメッキをほどこしたもののようです。


右下のロシア語をGoogleにラテン文字化してもらうと、「Sovetskiye sputniki zemli」となり、意味は「ソビエト地球衛星」だそうです。


宇宙開発競争を背景とした「旧ソ連モノ」の1つで、ロケットの脇を飛ぶ、まん丸の人工衛星はスプートニク1号、その先を行くだるま型のは、おそらくスプートニク2号。いずれも1957年の打ち上げなので、このホルダーもその頃のものかな…と思います。

ただ、中央でいちばん目立っているロケットは正体不明。
スプートニク1号も2号も、打ち上げには8K71PSというのを使ったそうで、ここに描かれたロケットとはずいぶん形が違います。


そもそも、こういう大きな固定翼を持った宇宙ロケットって、昔の漫画や映画にはよく登場しましたが、実際に存在したことってあるんでしょうか?大気圏内を飛ぶミサイルならまだしも、真空を飛ぶ宇宙ロケットが翼を持つ意味とは?
まあ、旧ソ連の同志たちは、その辺はあまりこだわらず、この勇壮な姿こそ祖国の栄光を称えるのにふさわしい…と思ったのかもしれません。

(この品から発展して、ちょっと気になることがあるので、次回はそのことを書きます)

コメント

_ S.U ― 2022年08月28日 09時47分47秒

ビデオでお顔を拝見した時にお話ししましたように、最近、実家の整理をしています。その際に、マッチ箱がやたら出てきまして、不要なので捨てればいいのですが、一応、わざわざ点くかどうか点検して、結局、どちらにしても水をかけて湿らせて燃えるゴミで捨てるという手間なことをしています。あらゆる範疇のマッチ箱が出てきますが、値打ちのありそうなものや予期せぬキャバレーのものは出てきません。でも、今後もどれだけ出てくるかはわかりません。うちはそんなに古くないので、1980年以前のものは出ないと思います。

 さて、固定翼の宇宙船の件ですが、これは、実験用ですが、アメリカでは、Xプレーンズというシリーズがあり、X-15、X-20などが、初期の型に相当するものと思います。ソ連に同等の計画があったかどうかは例によって鉄のカーテンによっていまだによくわかりませんが、「スピラーリ」というのがアメリカのX-20に対抗して計画されたもののようです。(↓)

https://www.buran-energia.com/spiral/spiral-project-desc.php

要するにのちのスペースシャトル(ソ連版ならブラン)の考えにより、ロケットで打ち上げて、滑空して下りるものでしょう。現代のヴァージン社によると飛行機打ち上げも可能になるようです。

 ただし、ソ連のスピラーリは、開発開始年代が1965年頃とアメリカより後発であり、玉青さんのお品の時代に合うものかはわかりません。おそらく、それよりも玉青さんのお品の固定翼のデザインは、スプートニクやボストークのロケットの形状は当時秘密だったので、それをカムフラージュするために、わざとぜんぜん違う形のデザインを記載して煙に巻こうとしたものと推測します。


 さて、話変わりますが、本日、我らが同好会誌の新号を発行しました。先日は、天体写真集でしたが、今度は、文章版の創刊50周年記念号となります。50周年とは関係ありませんが、草場修氏に関する論考では、天文古玩さんの情報にお世話になったことを深く感謝します。おかげさまで、私も草場修研究家の端くれに加わることができたように思え、とても嬉しいです。上のURLでご笑覧下さいますれば幸甚に存じます。

_ 玉青 ― 2022年08月29日 06時00分45秒

この度、「銀河鉄道」が創刊50周年を迎えられたとのこと。まことにおめでとうございます。50年と一口にいいますけれど、半世紀もの間、一つのことを続けられるというのは、たとえ好きの趣味の道でも、とてつもなく大変なことだと思います。そのご苦労に対し、私が言うのも僭越ですが、最大級の賛辞を贈りたいと思います。そしてまた今後の更なる発展をお祈りします。

今回、草場氏に関して状況を詳しく整理していただいたおかげで、その人生におけるミッシング・リンクが改めて明瞭に浮かび上がった気がします。お互いに草場修研究では日本でも、いや世界でも、5本の指に入ると思いますが(笑)、こちらの方も細く長く続けられたらと思います。どうぞよろしくお願いします。

さて、翼を持ったロケットの件。ご教示どうもありがとうございました。
その形態・機能において、「半飛行機」的な存在は、ソ連でも結構昔からあったのですね。

それと記事中のロケットでもう一つ気になったのが、翼の端のふくらみです。昔の漫画に登場する空想的ロケットだと、これが補助エンジンになっていて、翼端から派手に炎を吹き出しながら飛行する場面がよくありました。あのイメージはそもそもどこから来ているのか?まあ、フォルムとしては、ジェット戦闘機の主翼翼端に補助燃料タンクやミサイルを搭載した姿が発想源だと思いますが、ソ連の人も同じイメージを共有していたとなると、かなり汎世界的なイメージですよね。その点もちょっと気になっています。

_ S.U ― 2022年08月29日 07時40分40秒

我々の同好会の50周年にたまわった温かいお言葉に深く感謝します。今後はどうなるかわかりませんし、後継者や子孫に引き継ぐものでもありませんので、いずれは途絶えるものと思いますが、いただいた言葉を旨に、あと何年かは続けるよう努力します。

 ソ連(米国を含む)の有翼宇宙船については、もう少しわかっていること、わかっていないことがあるので、あとで、8月29日の項にコメントさせていただきたいと思います。

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