ハーシェル展 続報2022年09月18日 19時09分25秒

名古屋市科学館の「ウィリアム・ハーシェル没後200年記念展」が昨日から始まりました。

科学館公式ページ:ウィリアム・ハーシェル没後200年記念展
それにしても、亡くなってから200年経っても、こうして記念展が開かれるってすごいことですよね。存命中は盛名隠れなき人でも、死後はまったく忘れ去られてしまい、「え、○○って誰?」となってしまう人の方が圧倒的に多いことを思えば、200年後に、しかも遠い異国の地で追悼されるというのは、彼が偉人なればこそです。

会期の方は10月20日(木)までありますので、興味を覚えた方は、ぜひ会場に足をお運びいただければと思います。

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名古屋市科学館は、地元の人にはなじみだと思いますが、その天文館の5階が展覧会の会場です。


フロアには、引退したツァイスIV型機がそびえ、


天井を見上げれば、プラネタリウムの元祖、18世紀の「エイシンガ・プラネタリウム」【LINK】のレプリカが設置され、人々の星界への憧れを表現しています。


上は今回の展示前から常設されている、ハーシェルの40フィート大望遠鏡の縮小模型。

さて、こうした星ごころあふれるフロアの一角にある特設コーナーが、今回のハーシェル展の会場です。といっても、私はオープン前日の展示設営に、日本ハーシェル協会員として立ち会っただけで、まだ実際の展覧会には行ってないのですが、その雰囲気を一寸お伝えしておきます。



まず全体のイメージは↑こんな感じです。


展示は、パネルと同時代のものを含む各種資料から成り、小規模な展示ながら、並んでいる品にはなかなか貴重なものも含まれます。


左上はハーシェルが暮らした町、イングランド西部のバースの絵地図。ここでハーシェルは売れっ子の音楽家として生計を立てながら、一方で天文学書を読みふけり、ついには自作の望遠鏡で天王星を発見し…というドラマがありました。右側に写っているのが、彼の愛読した天文書です。


ハーシェルの自筆手稿を中心とした資料群。右端で見切れているのは、ハーシェルの死を伝える故国ドイツ(ハーシェルは元々ドイツの人です)の新聞という珍しい資料。


会場でひときわ目を引く古星図。ボーデの『ウラノグラフィア』(1801)の一葉で、今は使われてない星座、「ハーシェルの望遠鏡座」が描かれています(右端、ふたご座の上)。この貴重な星図は、今回このブログを通じてtoshiさんから特別にお借りすることができました。


ハーシェルが天王星を発見する際に使った望遠鏡の1/2スケールモデル。サンシャインプラネタリウム(現:コニカミノルタプラネタリウム)の元館長、藤井常義氏が手ずから作られたものと知れば、一層興味を持って眺めることができるでしょう。

以下、その説明は現地でご確認いただければと思いますが、こうしたモノたちを前にして、会場に流れるハーシェルのオルガン曲に耳を傾ければ、職業音楽家から大天文家へと転身したその劇的な生涯がしのばれ、彼によって代表される200年前の星ごころが、身にしみて感じられる気がします。