ブセボロードさんのウクライナだより2022年09月19日 17時32分45秒

ウクライナのアストロラーベ作家、ブセボロードさんから台風見舞いをいただきました。そのお礼を述べる中で、最近、ウクライナ軍が東部戦線で攻勢に出ていることに触れたら、ブセボロードさんからさらに返信がありました。

 「ええ、我々もここ数週間、ウクライナ防衛軍の前進状況に関する報道を目にしています。私が主にチェックしているのは、以下のインタラクティブ・マップです。
https://deepstatemap.live/en#6/49.411/29.290

今月に入ってから解放された地区は、被占領地域の約6%と見積もられています。それは予想を上回る戦果ですが、全面的な成功にはまだ程遠い状況です。全ての変化が地図に反映されるまで若干タイムラグがありますが、それはもっぱらサイト運営者が、信頼できるデータを提供しようとしているためです。

一方には暗い側面もあり、解放地域では多くの陰鬱な発見がなされ、そうした写真の何枚かは、すでにネットにも上がっています。ボランティアでパラメディカルスタッフをしているリヴィウとニーコポリ〔註:それぞれウクライナの西部と東部の町〕出身の私の友人たちも、現在そうした地域で遺体発掘の仕事に従事しています。彼らは決してすべてを語ろうとしませんが、そのメッセージのトーンから、彼らが目にしなければならなかったものは、彼らが決して見たくなかった類のものだろうと感じます。」

たしかにこれも伝聞情報に過ぎないとはいえ、生身の人間から伝わってくる情報は、やはり生々しさが違います。そして「決してすべてが語られない状況」をぼんやり想像して、身の毛がよだつ思いです。

(参考までにブセボロードさんに教えてもらったDeepStateマップの画像サンプルを挙げておきます。9月19日現在の状況)

(マップ右上のインフォメーションボタンを押すと出てくる凡例)

   ★

敵国に立ち向かうには、外交を含む戦略と武器があればいいのかもしれません。
では、我々は何をもって人間の残酷さに立ち向かえばいいのか?

それは宗教だという人もいるし、教育だという人もいます。
でも、まだそれに成功したという話は聞きません。敵国を華々しく打ち破った猛将・知将は、歴史上数多くいますけれど、人間の内なる残酷さに打ち勝った人は多分まだいないので、後者の方が格段に難しい課題であることは確かです。

なぜそんなに難しいかといえば、おそらく「残酷さに打ち勝つという思考の中に、すでになにがしかの残酷成分(排除と殲滅)が含まれているからで、だとすれば残酷さに対しては、打ち勝つのではなく、それとうまく共存する方法を見出すことこそ、人間になしうる最善のことではないか…とか何とか、例によって下手の考え休むに似たりですが、台風の空を眺めながら考えました。

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