白と金 vs. 青と黒2024年07月05日 05時44分28秒

星座早見盤の収集ガイド本【詳細はこちら】の著者、ピーター・グリムウッド氏は、本の冒頭、「イントロダクション」の中で、“こういう画像中心の本を編む場合、印刷の色チェックがきわめて大事である”と力説しつつ、自身の苦い体験を述べています。曰く、「私は2017年にeBayでマング社〔独〕の青い星座早見盤を購入したが、実物を見たら、それはほとんど黒に近いものだった!」

(問題の早見盤。左がたぶん購入時の商品写真でしょう)

ああ、これはがっかりしたろうなあ…と、その気持ちは本当によく分かります。

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色覚に限らず、ヒトの目と脳は往々にして騙されがちで、そこに見る者の予期・予断が作用すればなおさらです。

今日のタイトルは、以前ネットで話題になった下の画像から採っていますが、この服の色は<白と金>の縞か、<青と黒>の縞か、当時(2015年)もはげしい論争があったし、今でも見る人の目を大いに惑わせることでしょう。


この論争で面白かったのは、<白と金>を主張する人は<青と黒>を絶対に認めず、逆もまた然り、互いに自説を曲げず、そこに妥協の余地がなかったことです。これは両者が無駄に我を張っているわけではなく、実際当人の目にはそうとしか見えないのですから、仕方がありません。議論によって歩み寄れない問題というのも、世の中にはたしかにあります。

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最近、半年前に購入した1枚の星図を取り出す機会があり、グリムウッド氏の嘆きを思い出しました。この星図のことは、配送の途中で歌手のマドンナのポスターと取り違えがあって、すこぶる困惑した…という形で話題にしましたが【LINK】、その現物(商品写真)が以下です。



この美しい色合いはどうでしょう。古風な星座絵のバックに広がる澄んだ碧瑠璃。現代の星図としては出色の出来と思って、ネットで見るなり即座に注文したのでした。

しかし、届いたものはちょっと印象が違い、正直がっかりしました。
そこには商品写真に見られた繊細な碧瑠璃はなく、ひどく単純な青色があるばかりだったからです。


ただ、急いで付け加えると、自分で撮った上の画像も実物の色とは違います。商品写真よりは実物に近いですが、色味をどう調整しても実物の色は出せませんでした。ですから、売り手の人を一方的に責めることもできないんですが、それでも当てが外れたというか、見合い写真と本人の落差に驚いたというか、とにかくこの星図には、2度びっくりさせられました。

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色の世界は奥が深いです。

コメント

_ S.U ― 2024年07月05日 07時31分56秒

印刷物として届くと、それは、色の現物の正体が確定することになりますが、デジタルデータの状態のものは、自分のカメラで撮影して、自分の端末にディスプレイしても、手持ちのプリンタで印刷しても、それは、しょせん、自分の所持品の機種の範囲の色であり、他人にデータを渡すと相手方でどんな色が出るかは制御できないので、カメラのデジタルデータ自体の絶対的な色は意味をなすのかということになるように思います。

 図書館のデジタルアーカイブのように標準カラーチャートとともに撮影すれば、原理的には、ディスプレイやプリンタの個性は補正可能になりますが、ディスプレイやプリンタがカラーチャートを見て、それが標準的な発色で出力されるように自己を矯正するためには、外部の(標準規格)測光装置からデータ収集が必要となります。プリンタはそういう機能を持つものがあるかもしれませんが、ディスプレイは自己で測光するのは困難で実用的な補正は難しいように思います。でも、たいていの人はディスプレイで写真を見て納得した気になってしまうのですから、策無しのような気がします。

_ 玉青 ― 2024年07月05日 18時26分50秒

たしかに手元のPCで見るのと、スマホで見るのとでも少なからず色が違うし、今回はちょっと微妙な記事でしたね。たぶん。わが家にお越しいただいて、わが家の環境で画像を見ていただくと、私の言わんとすることがお分かりいただけると思うんですが、それだったら星図の現物を見てもらった方が早いし、ええ、これはもう処置なしですね(笑)。

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