Quiet Sun、静かなる太陽 ― 2024年08月24日 14時43分52秒
依然として暑いです。でも、ここに来て猛暑にもかげりが見えてきました。
コオロギがしきりに鳴くし、その後雨も降ったので、庭の植物もすっかり息を吹き返しました。接近中の台風10号が通過する頃には、もうすっかり秋の気配でしょう。
朝もだいぶ涼しくなりました…と言いつつ、これは人間の方が暑さに慣れたせいもあります。何せ最高気温が35度だと「今日はまだいいな」と思うぐらいになっているので、人間の適応力もなかなか馬鹿にできません。
自分の書いたものを読み返すと、最近は嘆き節が多く、「地球はいったいどうなってしまうのか?」という悲憤も洩らしていますが、今夏はそれが身に沁みて感じられました。
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今から60年前、1964年は「太陽極小期国際観測年(International Year of the Quiet Sun;IQSY)」でした。太陽黒点の極小期に合わせて、1964年1月1日から翌1965年12月31日まで、国際共同観測が精力的に行われた年です。
ブルガリアで発行されたIQSYの記念切手。
当時の共産圏の印刷物には味のあるものが多いですが、これもなかなか趣がありますね。
うーむ、カッコいいなあ…と思いますが、こういうカッコよさは、いったいどこから来るのか、自分でもちょっと言葉にしづらいです。
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それにしても、太陽活動の変化は、地球にどんな影響をもたらすのか?
奇しくも前年の1963年(昭和38年)は名高い「三八(さんぱち)豪雪」の年で、世界中が厳寒の冬でした。それも太陽黒点の減少と関係があるのかどうか。確定的なことは依然明らかではないと思いますが、少なくとも風と桶屋の懐具合よりは関係があるのでしょう。
よく知られるように、太陽黒点は11年周期で極大・極小を繰り返していますが、そこにはさらに長周期の変動もあって、近年は極大期でも黒点の出現そのものが減っています。つまり現在、太陽は長期的停滞の時期にあるらしく、だったらもうちょっと涼しくてもいいのになあ…と思いますが、そこが複雑系の難しさ。これで太陽活動が活発だったら、さらに暑くなっていたかもしれず、今は太陽の停滞に感謝すべきかもしれません。
コメント
_ S.U ― 2024年08月25日 09時19分53秒
_ 玉青 ― 2024年08月25日 16時09分28秒
ご紹介ありがとうございます。早速「銀河鉄道」を拝読しました。謝辞を頂戴し、こそばゆい限りですが、遺憾ながら書いた本人はすっかり忘れていて、さっき検索して、自分の書いたものを読み直し、やっと内容を思い出しました(笑)。
それにしても太陽黒点と気象の関係が、さらに「宇宙から舞い落ちる雪氷」のイメージにつながるとは予想だにしませんでした。そして、宇宙に遍在する電気エネルギー、宇宙線、霧箱…といった当時の新知識の数々が、作家のイマジネーションにどう影響し、両者がどう共振したのか、大層興味をそそられます。
このテーマに関して、私に何かアイデアがあるわけではありませんが、両者の関係性についての微妙な手触りが、何となく「太陽黒点と気象の関係」と似ているなあと思いました。それは単純明快なリニアーな関係というよりは、<時代>を仲立ちにした一層「コクのある関係」かもしれませんね。
それにしても太陽黒点と気象の関係が、さらに「宇宙から舞い落ちる雪氷」のイメージにつながるとは予想だにしませんでした。そして、宇宙に遍在する電気エネルギー、宇宙線、霧箱…といった当時の新知識の数々が、作家のイマジネーションにどう影響し、両者がどう共振したのか、大層興味をそそられます。
このテーマに関して、私に何かアイデアがあるわけではありませんが、両者の関係性についての微妙な手触りが、何となく「太陽黒点と気象の関係」と似ているなあと思いました。それは単純明快なリニアーな関係というよりは、<時代>を仲立ちにした一層「コクのある関係」かもしれませんね。
_ S.U ― 2024年08月26日 06時05分47秒
その節はお世話になりました。この手のものは、天文古玩さんとの「コラボ」でないと、とても私には書けませんので、深く感謝しております。文学者のイマジネーションの問題ですから、科学技術一辺倒で論理的に推していってもうまくいくものかどうかはわからないので、なかなか発展は難しいようです。
_ 玉青 ― 2024年08月26日 19時46分13秒
究極のところ、これは答が有るような無いような話で、まあ答というよりは、そこで提示されるのはむしろ「解釈」ですよね。今後、どれだけ豊かな解釈ができるか、大いに発展というか「沈潜」してまいろうではありませんか(笑)。
_ S.U ― 2024年08月27日 06時18分12秒
ご覧くださりありがとうございました。
「銀河鉄道」のほうも、今後もご支援を受けながら沈潜していきたいと思います。
「銀河鉄道」のほうも、今後もご支援を受けながら沈潜していきたいと思います。
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このたび、我々の天文同好会の会誌の新号を発行いたしました。上のURLでご覧いただければありがたいです。今回も多彩な方面の記事が集まりました。偶然ですが、拙稿において、今回のご疑問に、賢治先生と足穂先生が何かヒントを与えているかもしれません。そうだといいなと思っております。