蟹と月 ― 2024年09月06日 18時14分29秒
以前、こんな星座絵を載せたことがあります。
■星座絵のトランプ
この絵を見て、「かに座と月がペアで描かれているのはなぜだろう?」と疑問に思いましたが、西洋占星術の世界では、月はかに座の「支配星(Ruling Planet)」と考えられているからだ…と、そのときは自分なりに答を出しました。
この蟹と月の関係を、別の角度から考えてみます。
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蟹の産卵行動と月の関係はよく知られています。
陸棲や半陸棲のカニ類(アカテガニ、ベンケイガニ、オカガニ等)が、満月の晩に群れをなして海岸に押し寄せ、波打ち際で産卵する光景は、夏の風物詩としてニュースになったりもします。
これほど顕著でもなく、また事実かどうかはっきりしませんが、蟹と月の関係については、昔からいろいろなことが言われています。
「ガザミは、月夜に群れをなして泳ぐことから月夜カニとも呼ばれます。ところで、“月夜の蟹”ということわざをご存じでしょうか?このことわざは、月夜の蟹が月光を恐れて餌をとらないために痩せて身がないことから、中身がないことを意味します。」(「みやぎ水産の日だより 2018年6月号」より)
(ガザミ(ワタリガニ)。ウィキペディアより)
上の一文は、宮城県の発行物から引用させていただきました。
さらに、お隣の山形県が発行している水産情報紙にも、面白いことが書かれていました。「蟹は満月の夜に脱皮する」という説を耳にした水産試験場の研究員さんが、職場で飼育しているガザミとヒラツメガ二で、実際に調べてみた結果です。
「満月」、「新月」、「その他」の3区分で、脱皮個体数を調べてみると、いずれも「その他」に脱皮する個体がいちばん多くて、蟹は満月(あるいは新月)の日にだけ脱皮するということはないのですが、しかし1日あたりで比較すると、ガザミは新月の日に、ヒラツメガニは満月の日に脱皮する個体が確かに多く(前者は2倍以上、後者は6倍以上)、やはり月相と脱皮には何か関係がありそうだ…という結果が得られました。
(出典:「すいさん山形 平成23年3月号」)
(出典:同上)
幼生期も含め、浅海で暮らす蟹の仲間は、干満の影響を強く受けるので、その生態が間接的に月相と関連していることは大いにあり得ることです。蟹と月をめぐる古俗や伝承も、あるいはそんなところに端を発しているのかもしれません。
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さて、ここまでは話の前振り。
蟹と月にプラスして、さらにもう一つの「あるもの」の関係について考えてみよう…というのが、今回の話の中心です。
(この項つづく)
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