紫の佳人…『女性のための天文学』 ― 2026年04月25日 17時21分02秒
さて、今日も天文古書です。
前回登場した『アストレア』と、いわば同工異曲の作品。
■Wilhelm Plath
『Sternkunde für Frauen』(女性のための天文学)
J.H. Meyer(Braunschweig)、1872.
『Sternkunde für Frauen』(女性のための天文学)
J.H. Meyer(Braunschweig)、1872.
同工異曲と書いたのは、これまた架空の女友達に宛てた手紙形式の本だからです。副題には、『中部ドイツで見える星座の知識、および太陽系の一般的な状況に関する手引き ― ある女性の友人へ宛てた書簡形式による通信 ―』とあります(例によって昔の本はタイトルが長いです)。
(『アストレア』と並べたところ。判型は相対的に大きく、厚さはやや薄いです)
女性のための本ということで、これまた装丁が非常に凝っているのが目を引きます。
紫のクロス装にくっきりとしたエンボス加工、そこに金箔押し。まことに美麗です。
天・地・小口の三方金と、これまた豪華。
(目次)
内容はというと、第1書簡「序論。星空の光景が人間の心に及ぼす影響」、第2書簡「天球儀とその欠点」、第3書簡「地極と天極の関係についての異論を排す」…等々、全35篇の書簡形式の章節から成ります。
ただ、本書が『アストレア』と違うのは、176頁の本文中には挿絵がなく、巻末に29点の星図を含む32点の図版がまとめられていることです。しかも「29点の星図」は、純粋な星図と、それと重なる星座絵の2枚がセットになっているので、星座パートだけで58葉(ページ数にすると116頁分)という、星図のウェイトが非常に大きいのが本書の特徴です。
たとえば上はおとめ座の絵ですが、
そこにこのような星図が重なります(下にうっすらと星座絵が透けて見えます)。
ちょっと不思議なのは、こういう工夫をする場合、普通は星図の上に星座絵を重ねるのに対して、本書では星図の下に星座絵が来ることです。でも考えてみれば、星座を眺めるときは、星の配列がまず眼前にあって、そこにぼんやりと星座絵を重ねて想像するわけですから、本書のやり方のほうが一層リアルな気もします。
うみへび座とその周辺。
うみへび座とポンプ座にはさまれて、ちんまりといるのは「猫座」。
この絵はちょっと体形が変ですが、猫好きのラランドが設定したと言われる、現存しない星座です。その他は「らしんばん座」と「ろくぶんぎ座」。
(星図以外の挿絵はこんな感じです。裏面はすべて白紙)
さらに末尾には大きな折り込み図が付きますが、
こちらは星図ではなく、太陽系の図です。
★
なお、著者のヴィルヘルム・プラート(Wilhelm Plath、1795-1873)は、ハンブルクの医師で、科学啓蒙活動で知られた人の由。医師としては産科を専門とし、助産師教育にも努めた…というところが、本書の執筆動機と重なっているように思えます。
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なんだかんだ言って、1週間に1回ぐらいしか更新できない状態が続いていますが、諸事情を勘案すると、当分はこんな感じだと思います。












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