雷の化石2022年12月27日 09時50分46秒

雷にも大きいもの、小さいもの、いろいろありますが、中でもとびきり大きいやつがドーンと砂地に落ちると、そこが瞬間的に高温となって珪砂が溶融し、それがまた冷却固化することで、雷が砂地を走り抜けた形のままに、筒状の構造物が残ります。


それが「フルグライト(雷管石)」と呼ばれるものです。
手元の品は、アレクサンドリアの星座早見盤と一緒に藤井さんから頂いたもので、同じく北アフリカの、こちらはサハラ砂漠由来の品です。


ドーンと大地に落ちた雷は、この口を通ってバリバリと砂の層を貫通し、その波打つ電撃が、このこぶこぶした形を砂層に印象しました。


中は中空。フルグライトは溶けた珪砂を主成分とする、いわば天然のガラス管なので、内壁はツルツルしています。

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大神ゼウスは、あらゆるものを溶かす雷霆(らいてい)を武器とし、北欧神話の戦神トールは、その槌から雷撃を放って、あらゆる敵を倒したといいます。雷は昔の人にとって最も強力な武器のイメージだったのでしょうが、そこは今もあまり変わりがなくて、創作の世界には雷属性のキャラがたくさんいます。

天地が出会うところに生まれた不思議な石、フルグライト。
その穴を覗き込めば、リアルな雷の威力は、ときにそうした人間の想像力をも超えて凄まじいことを感じます。

コメント

_ S.U ― 2022年12月27日 13時54分43秒

こういうものがあるのですね。知りませんでした。
 ところで、江戸時代の日本語の博物の文献で、「雷斧」(らいふ)というのを目にして気になったのを思い出しました。私は、これは、雷の熱や電気で生成される特別な鉱石かと期待したのですが、ネットで調べると、石器時代の人工的遺物で、もともとは特に雷と関係ないことがわかってがっかりしたことがあります。では、こっちが本物の雷斧ですね。ぜんぜん斧じゃないですが。日本の山野で見つけるのは困難なのでしょうか。

 さて、昨日、我々の天文同好会の会誌の創刊50周年記念号その2を発行しました。上のURLで、またご笑覧いただければ幸甚に存じます。

_ 玉青 ― 2022年12月29日 16時25分35秒

フルグライトは、日本では発見例がほとんどないらしいです。真偽のほどは判断しかねますが、ウィキペディアの記述をそっくりコピペすると、以下のような次第らしいです。

「閃電岩の生成には約6億ボルトの電圧を持った強力な雷が必要とされ、日本の気象条件では強くても1億ボルト程度の雷しか発生しない[要出典]事から閃電岩は通常できない。
しかし、日本でも1966年6月6日に北海道岩見沢市で発見例があり、同市の郷土科学館にて長さ約89cm・重量約60Kgの断片が展示されている(展示部以外を含む全体では長さ約2m、直径は最大約41cm、推定重量約230Kg)。発見当時、この閃電岩の採取地点で高圧電線の切断事故が記録されている事から、落雷で切断された電線が障害物に引っ掛かる事なく地表に接触し、同時に落雷のエネルギーが電線を経由して大きく増幅されたと見られる。さらにそこへ主成分となる珪砂を含んだ当該地点の地質が重なった事で、本来起こりえない生成条件を満たし日本初となる閃電岩の発見に至ったとされる。」

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ときに「銀河鉄道」最新号のお知らせありがとうございました。
巻頭の田中邦明氏の回想記に感無量です。私はS.Uさんと時代も場所も異にするとはいえ、そう飛び抜けて離れているわけでもありませんし、共通する時代の空気を吸った者として、なんだか自分もその場にいたかのような気分になりました。
「友情」という言葉を安易に使うことをお許しいただけるならば、50年以上に及ぶ友情の絆は本当に貴いですね。そして、それが趣味を仲立ちとした絆であるということも素晴らしいと思います。趣味は長年月のうちに移り変わっていくのが常ですから、皆さんが同じ趣味を今も共有されていることは、本当に奇跡を見るような気がします。
どうか、これからも素敵な交流が永く続きますように。外野から声援を送らせていただきます。

_ S.U ― 2022年12月30日 07時38分59秒

>フルグライト
 ありがとうございます。物理化学の法則は普遍的であるはずなので、電圧の関係が土地によって日本では生じないというのはかなり意外でした。しかし、放電の成長現象は、大気中の微量成分に依るところ大なので、水分や粉塵の違いでそのくらいの大差ができるのかもしれません。

>回想記
 ご感想をいただきありがとうございます。私にははっきりとわからないのですが、田中氏の「脱線」を見るに、天文に限らず、趣味全般についてもあの時代の雰囲気があったのでしょうね。私はこの同好会のことを不思議だと思ったことはありますが、奇跡とまで考えたことはありませんでした。でも、趣味と夢の話と現実の日常を50年間共有できたことは、せっかくですからそういうことにさせていただいて、もはや頑張りどころか踏ん張りすら利かなくなりつつありますが、できるところまで現状維持したいと思います。ご声援感謝いたします。

_ Terebrus ― 2023年01月03日 05時09分11秒

In Ukraine there're many belemnite shell fossils found. Due to their arrowhead shape in people's imagination they were considered the heads of the God's arrows - what the lightnings were taken for. Effectively what the fulgurite tubes are. He-he))

_ Tamao(玉青) ― 2023年01月03日 08時34分56秒

Oh, Vsevolod? Thanks for your comment!

I see, belemnite and fulgurite are indeed a good pair. Your comment reminded me that I had some belemnites in my collection. Unfortunately, it was not from the Ukraine, but from England, but the shape is truly "the arrowhead of God!"

The battle of the gods belongs to the human imagination, but in Ukraine, humans are fighting each other right now with weapons more powerful than the thunderbolts of God. I am very concerned about you in Kyiv, as I have been watching the news for the past few days.

If there is a God in this world, please may God bless you.
If there is no God, then through human wisdom and courage, may peace come to your country as soon as possible!

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