人界の牽牛織女たちへ ― 2025年08月24日 10時50分12秒

旧暦の7月に入ったので、七夕の話題で少し話を続けようと思います。
下は先日見つけた明治物の絵葉書。


欄外に「人界の牽牛織女」とあります。
川のほとりで、牛飼いの男が、機織り女にそっと付け文をしている場面。


女は辺りを気にしながら、それを素早く受け取っています。あるいは文を渡しているのは、女の方かもしれません。まあ見たまま、読んだままの内容です。


絵面の中には「新七夕」ともあって、こちらが正式なタイトルのようです。
「新」とあるからには、これは絵葉書の作られた当時の農村風景に、牽牛織女を重ねたものでしょう。


発行元は滑稽新聞社。「滑稽新聞」は、反骨のジャーナリスト・宮武外骨(みやたけがいこつ、1867-1955)が、明治34年(1901)から同41年(1908)にかけて発行した風刺雑誌です。

同誌は、いわば明治版『噂の眞相』のような雑誌で(このたとえも既に伝わりにくいかも)、徹底した反権力の姿勢を貫きました。この絵葉書も、天上の星々の涼やかな逢瀬を、卑俗な地上の男女のそれに置き換えたところに、滑稽と風刺を利かせたものと思います。

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まあ、上のように考えれば、ちょっと皮肉な印象の絵になりますが、反対に地上の逢引を天上の逢瀬に重ねれば、そこに優雅な趣も出てくるわけで、そのほうが何となく心優しい感じがします。

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ちなみに、この絵葉書は単独で発行されたものではなく、同誌の付録として綴じ込まれていたもので、絵葉書として使うときは赤枠のところで切り取って使いました(赤枠で切るとちょうどはがきサイズになります)。

(裏面)

コメント

_ S,U ― 2025年08月25日 07時13分49秒

明治の宮武流でいうと、織女牽牛は「平民」ということなのでしょうね。天の織女は天帝の娘だと聞いたことがありますが、牽牛の身分はしりません。天の神様に身分があるかは知りませんが、織女は天帝家でなくても天帝の目にとまるような身分の女官などであったのではないかと思います。牽牛のほうも、織女との交際が公認されたようなので、農民ではなく、宮中の近習で、文官か武官の身分のある者かもしれません。明治になると、天上界は旧態依然たるまま地上界で文明が開けたわけですね。、

 本日、我々の天文同好会の同好会誌の新号を発行しました。上のURLでご笑覧ください。ソ連の宇宙開発については、一部、御ブログの宇宙切手からアイデアをいただいています(直接の物品があったかどうかは覚えていないので引用はしておりませんが、この場で感謝を表させていただきます)。数回の連載になると思うので、情報が得られれば、東側の宇宙同好会などからの情報リークも想定してみたいと思います。

_ 玉青 ― 2025年08月25日 21時43分28秒

「銀河鉄道」最新号のご案内をありがとうございました。今号も大変読みごたえがありました。ダークマターの連載は、前号と併せて通読させていただき、理解が進んだような気がしています。おっしゃる通り、ものの「名前」はとても大切ですよね。私自身、「暗黒物質」という名前に知らず知らず影響されて、少なからず誤解していた部分がありました。これは「透明物質」と言い換えた方がよいというお話を伺い、それこそ暗黒の霧が晴れた思いです。さらに屋上屋を架せば、「幽霊物質」みたいな感じでしょうか。我々の目に見えず、五感にも感じず、普段は我々とまったく没交渉だけれど、それでも確かにいる!…というような(まあ、幽霊は確かにいるかどうか分かりませんが)。そして「ソ連宇宙開発隠蔽史」。この話題は、このブログでもときどきコメントをいただいておりましたが、今回通史におまとめいただいたことで、これまた目からウロコです。いずれも次号が大変楽しみです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

_ S.U ― 2025年08月26日 12時59分11秒

早速、拙論をご覧下さり、ご感想をいただきありがとうございます。この2つの記事は、謎解きをしながら再構成をする必要があるので、なかなか苦労しております。次回は、「幽霊物質」のほうは「幽霊存在理論」の解説、ソ連の宇宙開発のほうは、「広く知られたソユーズ計画」の「目的全体の隠蔽」の話を予定しているので、荷が重いですが、お楽しみにお願いします。

_ 玉青 ― 2025年08月27日 05時40分26秒

ぜひぜひ!

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