回れ、天文時計2026年07月27日 18時52分34秒

私のコレクションに大きな進展がありました。

私が意識して集めているテーマはいくつかあるのですが、その一つに「天文時計のメカニカルポストカード」という、異常にこまかいコレクションがあります。このテーマで収集活動をしているのは、たぶん世界中で私ひとりでしょう。

まあ、これは別に威張って言うほどのことではなくて、対象をしぼれば「世界で唯一のコレクション」は誰でも作れます。たとえば「猫グッズ」を集めている人は多くても、「猫の陶製人形」に限ればコレクターはぐっと少なくなるし、さらに「三毛猫の陶製人形」、「戦前の三毛猫の陶製人形」…etc,、制限を強めれば強めるほど、競争相手はどんどん減っていく理屈です。

ただ、話を「天文時計のメカニカルポストカード」に戻すと、これはそもそも対象が非常に限られているので、集めやすそうで、かえって集めにくいテーマでした。


メジャーなのはプラハの天文時計↑と


ストラスブールのそれ↑だけで、第3の品がなかなか見つからなかったのです。
でも、先年、ようやくスウェーデンのルンド大聖堂のそれを見つけて、嬉々として記事にしました。


■ルンドの天文時計
 (過去記事のリンクが開けたり、開けなかったりで、ご不便をおかけします)

求めよさらば与えられん。そして、今回さらに第4の品を見つけました。
話がこまか過ぎて、もはや私が何を自慢しているのか、読み手の方には伝わらないかもしれませんが、私にしてみれば、「やっぱりあったんだ!」、「この分だと、まだあるかもしれんぞ!」という期待の持てる、実に嬉しい出来事だったのです。


それが、このチェコのオロモウツ市庁舎に取り付けられた天文時計の絵葉書です。
オロモウツは規模でいうとチェコ第5の都市ですが、伝統を誇る歴史の町だそうです。


もちろん、その絵葉書自体は上のようにたくさんあるのですが、紙製の仕掛けを施したメカニカル・ポストカードは今回初めて見ました。


裏面の文字情報を参照すると、原画を描いたのは、C. アンブロス(C. AMBROS)という人で、発行者は地元のヴォイテフ・シェベスチーク(Vojtěcha Šebestíka)書店

側面のギザギザ付き円盤を回すと、オリジナルの天文時計と同様、「窓」から見える絵柄が次々に変わる仕組みです。

(中段左右の窓の絵柄が変わります)

絵柄はアダムとイブ、ハプスブルク家のルドルフ、エジプト逃避途上の聖家族、そして東方三博士の4種類。

しかし、現在の時計に登場するのは、それとはまったく違ったものです。
この時計は。第2次大戦中に損傷を受け、冷戦期に全体が共産主義モチーフに作り替えられたのですが、それも歴史の1ページということで、現在もそのままになっています。そして時計の窓に登場するのは、キリスト教モチーフではなく、鉱夫、パン屋、事務員、工員など、様々な労働者階級のからくり人形だそうです。いかにも…という感じですね。

(出典:下記)

Olomouc astronomical clock(英語版wikipediaの解説ページ)

今の姿になったのは1955年なので、この絵葉書はおそらく戦前、1930年前後のものだろうと思います。

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【閑語】

ひたすら暑いです。

 念力の ゆるめば死ぬる 大暑かな  村上鬼城

…という不穏な句を、先日、中日新聞の朝刊コラムで目にしました。比喩的表現でなしに、今年の夏は句意が文字通りに感じられます。しかも最大級の念力を維持しても、なお命の尽きる人が続出という、大変な事態になっており、まことに恐ろしいことです。

近未来の予想として、人類は大々的に穴居生活に戻るか、夏場は「地底人」として暮らすようになるんじゃないでしょうか。しかし暑さはそれでしのげるとして、食糧生産の方が追い付くかどうか。何にせよ、今は人類史の曲がり角かもしれませんね。

コメント

_ パリの暇人 ― 2026年07月29日 00時42分35秒

ムムム... 負けました (笑)。
私はストラスブールとプラハのものしか持っていません。LyonやBeauvaisのカテドラルにある天文時計の絵葉書には可動式のものがあるのではないかと勝手に思っているのですが、まだ見かけたことはありません。
なお、ヨーロッパ各地にある天文時計について1931年に書かれた大著 (514ページ、写真458点) : Alfred UNGERER著 "Les Horloges Astronomiques et Monumentales les plus Remarquables de l'Antiquité jusqu'à nos jours、私家版"は注目すべき文献ですが、ご存知でしょうか?

_ 玉青 ― 2026年08月01日 11時07分59秒

やや、勝った(笑)。
私がパリの暇人さんに先駆けたことは大いに自慢できることですが、まあ、これは例外中の例外ですね。そして、この手の品を集めているのが、私の他に世界にはもう一人おられたことを知り、慢心は戒めねば…と強く思いました。

ご教示いただいた本、何となく記憶に残っていたので、本棚を見たらありました。
フランス語の本ですから、私にとっては「猫に小判」ですが、その雰囲気を味わい、挿絵を眺めるだけでも価値はあるだろうと思い、以前買ったのだと思います。まあ猫にしても、心がけのよい猫になると、小判の価値がうっすらと分かりますから、まったくの無駄というわけでもないかな…と強がっています(笑)。

_ S.U ― 2026年08月02日 05時59分19秒

現代の話ですが、名高い天文時計のうち、私が現地を訪れたことがあるのは、ストラスブール大聖堂の天文時計だけです。現地にお土産として特にメカ的なものは売っていなかったと思います。売っていたら、一つでも買ったのではないかと思いますが、買おうかと見た記憶すらありません。
 ストラスブールのは、天文部門と人形(オートマタ)部分が比較的明瞭に分かれていて、天文にあまり関係無い人形部分は可動絵はがきや解説パンフがあったかもしれません。天文のほうには冷淡に思えました。天象の意味がわからず、帰ったあとで玉青さんにお尋ねしたこともあったように思います。多くの天文時計が屋外にあるのに対し、これだけは屋内にあるので、商売はしやすいはずなのですが、と愚痴の一つもでる状況でした。

_ 玉青 ― 2026年08月02日 07時25分25秒

記事で採り上げたメカニカルポストカードも、仕掛け部分はすべて人形行列の模倣だけで、肝心の「天文」時計の部分はスルーですね。でも世の中には、以下のような天文機器の絵葉書も売られているので、もうちょっと工夫の仕様があっても良いように思います。

https://antiquus.es/c/tarjetas-postales/

なんだかもったいない気もするんですが、世間的には需要がないんでしょうかね?
あるいは、ここにこそ商機があるのかも(笑)

_ S.U ― 2026年08月02日 09時25分53秒

こういう万年カレンダーや惑星暦みたいなのはありますね。日本の天文科学館などのお土産みたいなのは、多少持っています。

ストラスブールやプラハについて、切り口を変えた同工異曲の愚痴をすでにコメントさせていただいておりました。

https://mononoke.asablo.jp/blog/2015/10/13/7838144

この論点で、天文カラクリもキリスト教の教義の理解の助けとして出たものとすれば、人形の物語が主体になるのも関係者としてはしかたないところかもしれません。でも、国際的観光地になった現代では宗教を超えた商機はあるはずですね。
 ストラスブールの天文カラクリ部分の解説は、玉青さんから資料を紹介いただいた記憶がありますが、すぐには出てきませんので、またの機会に。

_ 玉青 ― 2026年08月08日 10時39分25秒

いやあ、ブログに歴史があれば、コメント欄にもまた歴史あり、ですね(笑)。

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