彗星の思い出2026年07月09日 16時11分08秒

いつの間にか七夕も終わってしまいました。
この間、ボンヤリ過ごしていたわけではなく、むしろバタバタしていたのですが、バタバタ続きだと、空白の時間には一層ボンヤリしてしまって、なかなか記事が書けませんでした。でもそういうのは精神によくないので、少しずつ記事を書きます。

   ★

最近の買い物から。


彗星のカリカチュア絵葉書です。


キャプションは、「モンリュソン、1910年の夜」
モンリュソン(Montluçon)はフランスのほぼ中央部、パリからは南に約300kmのところにある町です。例によって昼間の写真を加工して夜景に作り替えてありますが、右手の塔の目立つ建物がこの町のシンボルで、14世紀にブルボン家が建てた城だそうです。


消印は1910年4月25日付け。
日付からすれば、この年の4月20日に近日点を通過したハレー彗星を当て込んだ絵葉書だろうと推測されますが、その壮大な尾は、同じ年の1月に出現した、これまた巨大な彗星「C/1910 A1」【LINK】の姿に一層似て見えます。

まあ、後者も描き手の発想源のひとつではあったでしょう。
「C/1910 A1」は一時期、日中でも視認できるほど明るく、夕暮れ時にはそれこそ目を見張るような光景を見せてくれたと伝わります。


ところでこの絵葉書、微妙な表情のお月様はいいとして、よく見ると彗星自体も擬人化されています。


その姿は、冠をかぶり、何かを指さして微笑む女性のようです。
そして長大な彗星の尾は、女性の純白の裳裾であり、婚儀を象徴しているのかもしれません。

実は絵葉書の現物が届くまで、私はこの女性に気づかなかったのですが、女性の姿と彗星の尾の比率がおかしいせいで、滑稽なような、あるいはいっそ不気味なような、奇妙な味わいを生んでいます。


版元はモンリュソンの G. Chaumont 商店で、あて先も同地に住む Marie Haymond 嬢と、徹底的に地元志向の絵葉書ですが、文面が「Souvenirs(思い出に)」の一語だけなのは、いろいろ人間ドラマを想像させます。

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