蒐集無慙2026年06月28日 09時53分35秒

このところ収集欲が比較的おとなしかったです。
まあ恒常的にモノは買っているのですが、「あ、いいな」と、軽い気持ちで買うものが大半で、眼球がひっくり返って、目が血走るような買い物とは少し距離がありました。当然、その方が精神衛生にとっては好く、財布にもやさしいわけで、大いに喜ぶべきことです。

そうした境地に達したのは、やはりこれまでずいぶんモノを買って、欲しいと思えるモノは一通り手にしたから…という理由がいちばん大きいです。大コレクターの方からすれば、「貧乏コレクターが何を偉そうに…」と思われるでしょうが、こういうのは“鴻鵠いずくんぞ燕雀の志を知らんや”で、貧乏は貧乏なりに、大コレクターには窺い知れない蒐集の道がまたあるのです。

それに、これは単なる私の強がりではありません。いや、やっぱり強がりかもしれませんが、たとえば以前言及した「Vintage Astronomy Books」というFacebook上の公開グループがあります。


天文古書愛好家という、非常にニッチな趣味のグループにしては、今日現在でメンバーは3,512人という結構な大所帯。

このグループの過去の投稿をさかのぼって眺めても、私の手元にある資料(本や紙モノ)が、海外の平均的愛好家に劣るとは思えないし、彼らの視野に入っていない日本の資料も多いわけですから、ここはちょっと大きく出ても許されるでしょう。それに「自惚れをやめれば他に惚れ手なし」という古川柳じゃありませんが、こんな些末な自慢は、およそ世間一般に通用しませんから、ここはせっせと自画自賛するに限るのです。


   ★

さて、そんな平和な日々を過ごしているとき、これまで一度も見たことのない天文古書の存在をネット上で知りました。つい一昨日のことです。

格別古い本ではなくて、19世紀後半の初学者用天文教科書ですが、その挿絵が実に好くて、一目見るなり、私はアブサンをあおったように、カッと全身が熱くなるのを感じました。こんな経験は久しぶりのことです。

もちろん所有欲に突き動かされた私は、ただちに探書を開始しましたが、古書検索サイトは全滅、オークションサイトもダメ。こうなると、いよいよ眼球がひっくり返って、目が血走ってきます。さらに探索の手を緩めることなく、結局その日のうちに1冊だけ出物を見つけたのは、運もありましたが、我ながら上出来です(この際、保存状態の悪さには目をつむりました)。

しばらく忘れていた、平穏とはおよそ対極にある感覚。
注意を要するのは、これが(一見そうであるように)本そのものを求めているのであればまだしも、実はそれに伴う興奮やスリルを欲しているのだとしたら、甚だ好くないということです。でも、両者は頭で思うほど、常にはっきり分離できるわけではありません。

   ★

コレクターにとって、「ほんたうのさいはひは一体何だらう」と考えます。

(肝心の本については、手元に届いてから改めて紹介しようと思います。)

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