庭の倫理と法理 ― 2025年09月27日 14時06分14秒
庭にスズメバチが巣を作りました。
数日前まで気付きませんでしたが、いつのまにか大きな巣ができていました。
スズメバチの姿は前から目にしていましたが、どこか他所から飛んできたんだろう…ぐらいに思って、あまり気に懸けずにいました。しかし、このあいだ庭木を切ろうとしたら、2匹のハチが同じ場所から飛び立ったので、ようやく巣の存在に気付いたわけです。
(巣の直径は約20cm 。1匹が巣の入口を守っています)
この時期、ハイキング中の人が襲われたりしてニュースになるのは、攻撃性の強いオオスズメバチで、庭にいるのはコガタスズメバチですが、コガタと言っても、それはオオスズメバチと比べての話で、普通に考えれば十分大型です。しかも見た目がオオスズメバチそっくりなので、端的に言って怖いです。
(オオスズメバチ)
これでは枕を高くして眠れんぞ…と思って、ハチ用防護服と専用の殺虫剤をアマゾンで注文しました。
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しかし、その到着を待つ間に、「待てよ…」と思いました。
私とハチはこの夏の間、ずっと平和裏に共存してきました。コロニーの拡大期も、先日不用意に巣に近づいた時も、彼らがこちらに積極的に害をなすことはありませんでした。
これはコガタスズメバチならではの事情が大きいようです。
「本来は攻撃性の低い種で、巣がある木を揺らすなどしない限り、知らずに巣に近づいても警告すらしてきません。〔…〕蜂の活動が盛んになる頃の巣でも、バレーボールより小さめくらいの大きさから、せいぜいバスケットボールくらいの大きさまでで、オオスズメバチやキイロスズメバチの巣に比べてはるかに小型です。
事前に巣の存在に気がついたなら、巣のある木に震動を与えないとか、数メートル以内に近づくことを避けるようにしておけば、本種に刺されることはほぼないと思われます。
〔…〕女王蜂1匹による単独営巣期や、まだ働き蜂の数が少ない時期であれば、駆除は容易です。特に近づくこともない場所であれば、無理をして駆除を行う必要はありません。」
事前に巣の存在に気がついたなら、巣のある木に震動を与えないとか、数メートル以内に近づくことを避けるようにしておけば、本種に刺されることはほぼないと思われます。
〔…〕女王蜂1匹による単独営巣期や、まだ働き蜂の数が少ない時期であれば、駆除は容易です。特に近づくこともない場所であれば、無理をして駆除を行う必要はありません。」
見かけは怖いですが、ずいぶんおとなしい種類のようです。
さらにその生活史をひも解けば、10月に新たな女王バチと雄バチが巣を離れたあと、残った働きバチも順次寿命が尽きて、11月後半には空っぽの巣だけが残る…ということのようです。
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話は変わりますが、私は広島・長崎への原爆投下は倫理的に間違った行為であり、それを決定したトルーマン大統領とその周辺は、人道に対する罪を免れないと思います。
しかし、もちろんアメリカにも言い分はあるでしょう。
「原爆投下は、何も『平和に暮らしている無辜の民』を狙って落としたわけじゃない。あのとき日本とアメリカは戦争をしていたんだ。真珠湾以降、一体どれだけ多くのアメリカ人の血が流れたと思っているのか。戦争は遊びじゃない。強力な武器で戦争を早く終えることができるなら、むしろ積極的に使うべきじゃないか」
…とかなんとか。
だからといって非戦闘員を、ましてや小さな子供やお年寄りを、一瞬の業火で焼き殺していいはずがないし、原爆を落とさなくたって、あの時点で日本が既に継戦不能であったことは、日米双方の目に明らかだったので、原爆投下は不必要な殺戮行為以外の何物でもありません。
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そのことを思うと、私がスズメバチに行おうとしていることは、倫理的に到底容認できないでしょう。何しろその行動理由は、単なる「漠然とした不安」のみで、アメリカの「屁理屈」にすら及ばないのですから。
スズメバチにはスズメバチの生活があり、その生活史の環はまもなく閉じられようとしています。それまで待っていけない理由はないので、殺虫剤の使用は当面見合わせることにしました。
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仮に今後、スズメバチと私の間に新たな軋轢が生じたら?
そのときこそ、私は手元にある強力な矛と盾をふるうことになるでしょう。
私の行為に、アメリカの“蛮行”と違う点があるとすれば、この庭は私のテリトリーであり、私には相手を合法的に排除する権利がある…という点ですが、動物法廷が開かれたとして、その主張がどこまで認められるかはわかりません。(スズメバチ側も同様の論陣を張ってくる可能性があります。)
コメント
_ S.U ― 2025年09月29日 06時33分00秒
_ 玉青 ― 2025年09月30日 06時31分10秒
いやあ、それは正直嫌ですねえ。
まあ、ヒトとスズメバチを比べれば、ヒトの方が圧倒的に凶暴ですから、向こうも「これは枕を高くして眠れんぞ」と思っていることでしょう。お互い窮屈なことこの上ないですが、このお互い窮屈なことが、まさに「共生」の肝かもしれませんね。
まあ、ヒトとスズメバチを比べれば、ヒトの方が圧倒的に凶暴ですから、向こうも「これは枕を高くして眠れんぞ」と思っていることでしょう。お互い窮屈なことこの上ないですが、このお互い窮屈なことが、まさに「共生」の肝かもしれませんね。
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なるほど、このおとなしめで小型のスズメバチは、性格が違うのですね。実家のほうで隣の敷地からたまに飛んできますが、気にすることはなさそうです。それから、日本のコガタスズメバチの巣は、秋ごとに毎年放棄され更新されるそうです。でも、来年も近くに作られると嫌ですね。