月とホトトギスの装身具(2)2026年02月05日 21時03分54秒

私はジャパン・ルナ・ソサエティの会員なので、N市支部の例会では、お月様にちなむ品を紹介する義務を課せられてるんですが、そこでも一連の月の簪(かんざし)はなかなか好評でした。…というのは、会員云々も含め、すべて脳内の話ですが、こういう品を手にすると、ふとそんな空想にふけったりします。

   ★

今日の簪は金工ではなく漆工作品です。

(全長20.5cm)

江戸~明治のものと思いますが、本体はべっ甲、そこに蒔絵が施されています。
簪といえば2本足が普通ですが、これは1本足です。たぶん笄(こうがい)との中間形態である「中差簪(なかざしかんざし)」と呼ばれるタイプだと思います。

先端に見える「耳かき」が簪の特徴で、幕府が奢侈品を禁じた時代、「これは贅沢品ではなく、立派な実用品です」と言い逃れるための工夫だと聞きました。それが明治以降もデザインとして踏襲されたわけです。


小指の爪に乗るほどの小さなホトトギス。その下の月は一見目立ちませんが、灯りにかざせば鮮やかに浮かび上がります。


これはべっ甲の透明な部分を活かした細工で、なかなか手が込んでいます。


さらにその下に見えるのは、おそらく藤の木でしょう。
藤にホトトギスとくれば、これは花札の四月の札で、風雅の中にユーモアと機知が光ります。これぞ江戸の粋という感じです。


これは無名の職人の作ではなく、銘が入っており、号は「良斎」と読めますが、詳細不明。

(この項つづく)

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック