日食に何を見るか2026年03月28日 14時57分23秒

さて、ブログも半ば放置状態ですが、ぼつぼつ記事を書くことにします。

   ★

先日、こんな絵葉書を買いました。


時代は1900年代初頭、版元は裏面に「K.F. Editeurs, Paris」とあって、ここはチューリッヒの美術出版社 Künzli Frères(キュンツリ兄弟社)がパリに出した支店の由。まあ絵葉書の素性はそれとして、これが何を表しているのか、徹頭徹尾分かりません。


角を生やした悪魔が、悪魔らしからぬ表情でスヤスヤ眠っています。
隣には手紙を持った意地悪そうなウサギ。


他の男と車で出かけようとする奥方(?)が、悪魔男にむかって手を振り、そこに「皆既日食」の文字。(この語があったから私の探索に引っかかったのです。)


その上にいるのは、これまた皮肉な笑みを浮かべた、蝶だか蛾だかの妖精。

フランス流のコキュ(寝取られ男)をテーマにした、シニカルなユーモア絵葉書だと思うんですが、その“絵解き”がまったくできません。いったい何なんでしょう?

   ★

ときに今日の紙面で、つげ義春さんの訃を知りました。
まこと皆既日食に際会した気分です。


起き臥しによって瞼を開閉するねじ式の目を手に


瞑目して合掌―。

この日食は永遠に終わることはありませんが、その分、壮麗なコロナがいつまでも神秘の光を放ち続けるはずです。

コメント

_ パリの暇人 ― 2026年03月30日 00時55分48秒

皆既日食は、夫の目を隠して(月が太陽を隠すように)、別の男と密会することを表しています。
右下の男は、騙されている夫です。コキュを意味する角がありますので。
奔放さの象徴である兎と手紙は、男からの恋文を夫が気付かないように受け取っている様子でしょう。
上にいるプットは、この絵葉書を見ている人に、内緒だよと囁いています。
20世紀初頭、フランスで人気のあったテーマの風刺絵です。

_ S.U ― 2026年03月30日 11時22分59秒

私のコメントは、つげさんのアイデアのほうですが、この「ねじ式」を初めて読んだときは、グロテスクなアイデアだと思いましたが、今では、体中の血管や筋肉や目や神経の調節がネジのトルクで制御できれば、ヘタな薬よりもいちばん信頼性が高いのではないかと考えるようになりました。年齢がすすんで、体中にガタがきているからかもしれません。

_ 玉青 ― 2026年03月31日 19時21分06秒

○パリの暇人さま

いやあ、これは勉強になりました(何の勉強ですかね・笑)。
この図は悪魔ではなく、「浮気された男には角が生える」という俗説を下敷きにした絵柄だったのですね(そこで「corne(角)」から派生して、浮気された男を「cornard」、「cornette」とも呼ぶ…とさっき検索して知りました)。皆既日食、ウサギ、プットの件も、すべて明快にご説明いただき、大いに納得です。本当にすっきりしました。ありがとうございました!

○S.Uさま

全身ねじ式(笑)
まあ、勢いが良すぎる分には、ネジをキュッと締めて調節できそうですが、全開放にしても血液やら神経パルスやらの通りが悪くなってきたときは、ゆるめ過ぎてネジが外れてしまわないかと、ちょっと心配です(これは私自身の実感です)。

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