屈折式・反射式・おざ式2026年03月31日 22時34分55秒

日食のことを書き、つげ義春さんのことを書きました。

書き終わってから、チカッと私の中に光るものがあって、何だろうなあ…としばらく考えているうちに、それは赤瀬川原平さん(1937-2014)のことだと気付きました。なんだか「さん」付けでなれなれしいですが、お二人は私の中ではずっと「さん」付けなので、ここでもそのままお呼びします。

原平さんは、前衛芸術家であり、芥川賞作家であり、文筆家でもありましたが、『ガロ』の版元・青林堂にも一時出入りして、当時の編集長・南伸坊氏に乗せられて、「ねじ式」のパロディ漫画「おざ式」を描いたりしていました。(ちなみに原平さんとつげさんは、ともに1937年生まれの同い年です。)

(『ガロ』1973年7月号掲載。『ガロ二〇年史 木造モルタルの王国』より)

そして原平さんは、天文ファンでもあり、「遅れてきた天文少年」(ご自身の表現)として、南伸坊氏や渡辺和博氏らとともに「ロイヤル天文同好会」なる会を結成し、憧れのタカハシ製6.5cmフローライトを買い、ついには「天文ガイド」誌上で連載記事を持つまでになります(1992年2月号~95年2月号)。

 「夢にまで見た高橋製作所は、まさに製作所という感じで、つげ義春のマンガに出てくる町工場みたいだった。そうだ『ガロ』の青林堂にはじめて行ったときもこんな感じだったと思い出した。その聖なるタカハシの二階の事務所に昇る狭い木の階段が、ぎしぎし軋んだ音をよく覚えている。」 (「遂にタカハシを買う」、初出は天文ガイド誌、後に単行本『ゴムの惑星』(1995)所収)

そしてロイヤル天文同好会の面々と日食観測に赴き、1991年のメキシコ皆既日食の際に撮影した写真は、アート作品として、展覧会場を飾ったりもしたのでした。

『赤瀬川原平展 [ステレオ写真-メキシコ皆既日食旅行編] 』 図録より)

(ロイヤル天文同好会会長・田中ちひろ氏撮影。『[大阪ステレオ博-立体写真館] 脳内リゾート開発事業団 赤瀬川原平/太田孝幸/高杉弾/田中ちひろ/徳山雅記)』 図録より)

ちなみに、赤文字で示した2つの展覧会はともに1992年6月6日~27日まで、大阪市内の別会場で開かれました。そして2つの図録は、実は同じものです。

(表・裏表紙にそれぞれの展覧会名が印刷されています)

「あれ、どういうこと?」と思いましたが、すぐに「ああそうか。この写真展自体が「ステレオ」企画なのか…」と気づきました。まことにどこまで本気で、どこまで冗談なのか分からないところが原平さんらしいわけですが、原平さんにとっては本気も冗談もなくて、すべては「あそび」であり、「数寄の道」だったのでしょう。

原平さんもつげさんも、実に一代の畸人と呼ぶに足る人たちでした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック