塔上の銀月2008年11月14日 05時32分56秒

今日、明日と神戸に出張します。

写真は、「神戸タワーより見たる二十一日の月」。
神戸タワーの開業直後、大正末年から昭和の初めにかけて発行された絵葉書です。
このブログを始めて間もない頃に、同じく「十三日の月」というのを載せましたが(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/02/08/245169)、それと同じシリーズ。

フィルムの特性なのか、現像・焼付けの加減なのか、戦前の月はどこか戦前の顔をしているのが面白いところ。

昔の記事にも書いたように、この絵葉書を見ると、ふと若き日のタルホを連想します。
年譜で見ると、彼が神戸周辺で過ごしたのは大正10年までですが、このハイパーモダンな若者を育んだのは、やはり当時の関西学院のハイカラな空気であり、関西の水だったように思います。そしてちょうどこの絵葉書が出た頃、彼はひとつの頂点に達し、『一千一秒物語』(大正12)や『天体嗜好症』(昭和3)といった、きらめくような作品集を刊行しました。

 ★

冬が近づき、空気も澄んできました。
昨夜は月がビックリするぐらい明るく見えました。

コメント

_ S.U ― 2008年11月15日 20時01分33秒

ご出張は、緑色の火花を落とすボギー電車に乗って、満月過ぎの青い光に包まれたトアホテルでお泊まりでしたか。

「戦前の月はどこか戦前の顔」 -- 「どんな顔じゃ!」とツッコミを入れたいところですが、なるほどと納得してしまいます。写真屋さんの言いそうなひと言でいうなら「階調の少なさ」ということになるのでしょうが、貧弱な写真にはならずにそれなりの凄みを帯びているところが、戦前の写真たるところだとおもいます。

_ 玉青 ― 2008年11月15日 21時28分01秒

今帰りました。
神戸、良かったですよ。収穫あり。その話はまた明日。。。

 +

「諧調の少なさ」―なるほど!的確な言葉を当てていただき、すっきり納得です。

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