彗星に乾杯2017年07月19日 06時59分40秒

一昨日の記事の結びは、自戒を込めて書きました。
しかし、いかに健康に気を遣っても、毎日お酢ドリンクだけ飲んで過ごすわけにもいきませんし(ええ、いかないんですよ)、時にはゴクリとジョッキを干したいのが人情。

…というわけで、今日は彗星のビールです。
下はパリの東方、マルヌ県シャロン・アン・シャンパーニュの町にあった、コメット酒造の「ラ・コメット」のラベル(1920年代か)。


コメット酒造については、ちょっと前に「スラヴィア」という銘柄のビールを取り上げたことがあります。

彗星酒造の青い灰皿

上のラベルは、単に「La Comète」とあるだけで、「スラヴィア」のような特定の銘柄を記していませんが、この場合は、会社名が即ち銘柄でもあるのでしょう。いわば「キリンビール」と「一番搾り」の関係みたいなものです(…と思うのですが、違うかもしれません)。

コメット酒造の創業は1882年。
シャンパン作りのシャトーだった建物を買い取り、そこに近代的な工場を建て増ししてビール製造に乗り出し、第1次大戦後のビール需要の伸びを追い風に(産業化が進むと、労働者が渇を癒やすためにビールが大いに売れるわけです)、一時はずいぶん栄えたものだそうですが、その後、より大資本のビールメーカーに押され、結局1980年代に入って商売をたたんだことは、以前の記事でも触れました(注)。


ビール党を導く、頼もしい女神。
これはもちろん、尾を曳いて飛ぶ彗星の形を、長い髪をなびかせた女性の姿になぞらえたものでしょう。

コメット酒造はなくなっても、麦酒信徒はまだまだ健在です。
さあ、今宵も女神の下に集って、乾杯!乾杯!

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(注) その在りし日の工場の様子は、以下のページで見ることができます。
■CHÂLONS-sur-MARNE - Brasserie de la Comète