宇宙の謝肉祭(その3)2017年11月13日 20時51分53秒

南仏・エクスの町の「宇宙の謝肉祭」。
ある年には、こんな幻想的な「三日月の山車」も登場していました。


このブログでは先日来おなじみの、「月にピエロ」の取り合わせ。
月の表情もいいし、星と流星の裾模様も洒落ています。

タイトルの一部が切手に隠れて見えませんが、同じ絵葉書を他でも見たので、そのタイトルは判明しています。すなわち、「ピエロの飛行家、または不可能な夢(Pierrot aviateur ou le rêve imposs)」

(一部拡大)

これまた何と文学的なタイトルでしょう。
儚くも美しい…というイメージがピッタリきます。

   ★

些末なことながら、これまで登場した山車の登場年をここで整理しておきます。
まず、この三日月の山車の遠景には「CARNAV(AL) XXII」(第22回カーニヴァル)の看板が見えており、切手の消印は1910年です。


また、先に登場した「流れ星の天文学」は「第23回」を謳っており、


昨日の「火星と地球の交感」は「第24回」で、開催は1912年でした。


以上のことから、エクスの町のカーニヴァルは――その起源自体は非常に古いかもしれませんが――こういう山車行列でにぎにぎしく祝うようになったのは意外と新しいことで、おそらく1889年が第1回だと推測できます。

したがって、1910年のハレー彗星騒動に引っ掛けた出し物と思った「流れ星の天文学」は、実際には翌1911年に登場したもので、これが想像通りハレー彗星をモチーフにしたものだとしても、少なくとも、その騒動の渦中に、リアルタイムで登場したものではありませんでした。その点は、ちょっと訂正と注釈が必要です。


(この項さらに続く)