古画発見2019年03月03日 08時15分09秒

今日は雨模様のひな祭り。
啓蟄にはまだちょっと間がありますが、ゆうべ驚いたのは、今年初めて蚊が飛んできたことです。我が家はことのほか蚊が多いので、少なからず憂鬱な気分です。

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さて、昨日の「ネットでいろんなことが分かるようになったね」という話の続きで、最近、こんな発見もありました。

以前、「ロイヤル・コメット」というイギリス生まれのボードゲームを紹介したことがあります。


■ちょっと気取った彗星ゲーム

ゲーム自体は、1996年発売のごく新しいものですが、その箱絵やボード絵が古雅で、なかなか良いなあと思って、取り上げたものです。上で言う「発見」とは、その箱絵のオリジナルを見つけたこと。


元絵は版画なので、オックスフォード科学史博物館が唯一の所蔵先とは言えませんが、とりあえず見つけたのは、同館のアーカイヴです。ざっとあらましを書いておくと、原題はずばり「Astronomy」で、形態は銅版手彩色。ロンドンのF. Bull, J. Boydell, & W. Herbertが版元となって、1766~1775年頃出版されました。これはフランス革命前ですから、相当古風は古風で、出版当時は「同時代の風俗画」という認識でしょう。

版元に名を連ねる3人のうち、たぶん最も有名なのは、John Boydell(1719-1804)で、その名は日本語版のウィキにも載っています[ LINK ]。

ボイデルは元々自身が版画家でしたが、後には他の版画家を起用して、芝居絵や風景画、あるいは古の名画の複製版画を作って、大いに儲けたという、なかなか商才に長けた人の由。(…となると、複製芸術の流行は19世紀に限らず、18世紀には既に大いに花開いていたことになります。この点で、昨日の記事はちょっと留保が必要かも。)

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以前は、過去と言えば「遠く霞んでいくもの」でしたが、最近は「徐々に鮮明になるもの」に変わったようです。でも、戦災の記憶も、震災の記憶も、日々霞んでいく現状を見ると、それも対象によりけりなのでしょう。

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