それはガリレオにはじまった2007年03月31日 11時32分16秒

(岩波文庫、ガリレオ・ガリレイ著『星界の報告』)

月や星の美しさを讃える人は遠い昔からいましたし、洋の東西を問わず、それを詠んだ詩文も数多くあるようです。しかし、それはいわゆる「天文趣味」とは一寸違うような気がします。

遥かなる星界の神秘に触れ、想像を絶した人外境に息を呑む…そうした営みが始まったのは、当然そのための手段が生まれてから以降のことです。それがなければ月のクレーターも、木星の偉容も、土星の輪も、天の川を埋める無数の星々も、目にすることはできず、そういったものなしに「天文趣味」を云々することは、私には抵抗があります。

したがって、私にとっての「天文趣味」は「望遠鏡趣味」とほぼ同義なのです。

そうした意味での天文趣味の歴史は、17世紀初頭、ガリレオが『星界の報告』を出版したことで突如として始まりました。まさに天文趣味のビッグバンです。

(この項つづく)