近況2008年03月02日 19時55分56秒


ご無沙汰をしております。

前に告知したとおり、地道に翻訳作業を続けています。しかし、思ったほどにはできないもので、今のところ当初の予定の3分の1ぐらいのペースにとどまっています。まあ、焦らずノンビリ続けるつもりです。

暦もいつのまにか3月ですね。

オリオンはまだ健在ですが、主役の座は徐々に獅子に取って代わられつつあるようです。

以前載せた(http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/11/30/2465522)、50年代の星座絵葉書の仲間を最近見つけたので、載せておきます。

コメント

_ S.U ― 2008年03月06日 23時35分39秒

玉青様、こんばんは。
渋いけれども楽しい星座カードですね。これの "STAR COLORS" の
”アルギエバ -- 黄緑色” というのに惹かれて、オペラグラスを持ち出して、
しし座を見上げてみました。今はレグルスのちょっと東に土星がいます...
でも、私の目にはオレンジ色にしか見えませんでした...残念。
スペクトル型がK0だから黄緑色が強いはずということなのかもしれません。また、
実際に黄緑に見える人もいるのかもしれません。

_ 玉青 ― 2008年03月08日 07時23分31秒

隅々までよくご覧になってますね(笑)。
ご指摘があるまで気づきませんでした。

アルギエバが、確かに yellowish-green になっていて、美しいイメージを喚起しますが、これは多分 greenish yellow の間違いでしょう。ウィリアム・スミスの『ベッドフォード・カタログ』(1844)では、そう表記されています。しかも、これは二重星で、明るい方が「bright orange」、暗いほうが「greenish yellow」だというのですから、絵葉書は二重に間違いを犯していることになります。

バーナムの『星百科大事典』を見ると、この同じ星を、W.ハーシェルは「白と淡赤」、F.G.W.シュトルーフェは「金黄と赤味がかった色」、C.E.バーンズは「オレンジと淡黄」、バーナム自身は「両方とも“オレンジに近い深い緑黄色”」に見えると書いています。

ふつうに見ればオレンジで、凝視すれば(黄緑ではなくて)緑黄がかって感じられることもある、というのが実態のようです。

星の色彩表現に関しては、『ベッドフォードカタログ』に由来するものが、引用の連鎖で延々と現代まで生き延びているものが多いらしいのですが、スミスの表現はかなり独特なので、そうした色が見えてくるまでには、相当心眼を鍛える必要がありそうです。

_ S.U ― 2008年03月08日 19時52分39秒

玉青様、詳細の情報をどうもありがとうございました。さすが「原典」をすぐあたられることが
できるのですね。色の名前を読んでいるだけでも楽しいです。二重星であることは知り
ませんでした。けっこう有名な二重星だったのですね。

 ということなら!、というわけで、今夜は反射望遠鏡を持ち出しました。 二重星は角距離
約5”で、160倍で色を見分けられる程度に分離できます。私の見たところ、両星とも金色系
ですが、明るい方が朱色がかった金色で暗い方が白っぽい金色というところです。白っぽい
感じが確かに時おり緑黄色に見えることがありますが、これは明るい星の朱色との対比の
錯視(色相対比というのでしょうか)のように感じられます。人の感想をあまり気にしないで
大勢の人に試してほしいと思います。そういえば、たまたますぐ近くにいる土星も緑黄色に
見えないこともありませんが、アルギエバの伴星はそれとはかなり違う色です。

 もしやということで、野尻抱影の「星座めぐり」(1946?)を見てみましたら「黄橙と黄」となって
いました。これは自身の観測に基づいているのか洋書に基づいているのかどちらなのでしょうか。

_ 玉青 ― 2008年03月09日 06時57分03秒

そうなんですよね、別に本を引っ張り出さずとも、まず自分の目で見ればいいわけですが、安易に本をめくるだけで事足れりとしてしまうのが、我ながら(悪い意味で)ブッキッシュだなあ…と思います。

天気がよければ、今夜あたり、私も久しぶりに望遠鏡を覗いてみることにしましょうか!

さて、ブッキッシュついでに。
抱影翁の『星座めぐり』は恥ずかしながら読んだことがないのですが、この本は確かK.マクレディの A Beginner's Star Book (1912)の翻案だったかと思います。で、マクレディの本に当ると、“A orange, B Yellow”となっていました。たぶんその直訳でしょう(現代の感覚では、orange は黄橙というより「橙」そのものですが…)。

_ S.U ― 2008年03月09日 18時51分01秒

玉青様、ありがとうございました。野尻抱影の解説書にはそれぞれ定まったタネ本がある
のですね。まあ、私も、星座の入門では著者の名前も知らない子どものうちから世話になり、
翁の領域にまんまと引きずり込まれたクチです。
ブッキッシュですか。古今東西の本に埋もれながら暮らすことができたらいいことですねぇ。
私もついでながら乏しい蔵書からもう一つ...翁の最晩年の「星アラベスク」(1977)では、
アルギエバはマクレディそのままの「オレンジと黄」になっていました。「オレンジ色」
が日本語として定着したのですね。

_ 玉青 ― 2008年03月10日 20時36分09秒

春先はいつもそうですが、昨日も今日も宵になると薄雲が出て、星はあまり見えません。アルギエバはもう少しお預けです。

黄橙がオレンジに…本当に微妙な変化ですが、野尻抱影という一人の人物の中でも、言語感覚が時代とともにうつろっていくのが面白いですね。

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