オルロイの前で2018年04月23日 06時49分44秒

プラハの旧市街で、毎日可憐なからくりショーを演じる天文時計。
「プラハのオルロイ」として知られる、著名な観光名所です。

「オルロイ(orloj)」はチェコ語で、これ一語で「天文時計」の意味。さかのぼれば、ギリシャ語の「ホーロロギオン(時を数えるもの、時計)」に由来し、英語の「horology(時計製作学)」も語源は一緒です。(英語の「hour」は、この「ホーロ」から来ています。)

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プラハのオルロイのことは、以前も何度か記事にしました。その折に、オルロイを描いた、プラハ土産のメカニカル・ポストカードを紹介しましたが(LINK)、最近また違う絵柄の品を見付けました。


淡彩スケッチを元にした、優しい雰囲気の絵葉書です。


他の品と同様、脇のホイールを回すことで、上部の窓から聖人たちが順繰りに顔を出す仕掛けになっています。


時代を判別する手がかりに欠けますが、網目製版のオフセット印刷なので、そんなに古いものではなくて、おそらく戦後の1950~60年代の品じゃないでしょうか。

プラハのオルロイは、第2次大戦末期に、ドイツ軍によって破壊され(※)、1948年にようやく修復が成ったそうです。その後に訪れた、曲がりなりにも平和な時代に、この絵葉書は作られたのでしょう。

(※)その惨状は、「damaged Prague astronomical clock」で画像検索すると(LINK)、ありありと見ることができます。

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今のプラハを訪れる人は、オルロイの前に立って、遠い中世のメルヘンに思いをはせることでしょう。私がその場に立っても、たぶん同じでしょうが、さらに鉄錆の味がする<東西冷戦>の記憶をそこに重ね、現代史の中で揺れ動いた、今はなき「チェコスロバキア共和国」の運命を思って、しばし立ち尽くすかもしれません。