大きな太陽、小さな太陽2024年08月03日 07時17分43秒

連日酷暑が続きます。
なんだか太陽ばかりが元気で、少し憎らしい気もしますが、最近の炎暑はもっぱら地球側の要因によるものなので、太陽を恨むのは逆恨みのような。


ガラスキューブの内部に造形された太陽。この品は既出です。


ガス球内部で生じた膨大なエネルギーは、対流と輻射によって表面まで運ばれ、目のくらむような光となり、巨大なプロミネンスや爆発するフレア、そして無数の磁力線ループを生み出します。これらは太陽がまさに生きている証しです。

   ★

一方、こちらは原生生物の仲間、タイヨウチュウ
ウサギノネドコさんのSola cube Microシリーズの1つです。


「タイヨウチュウ」は、Helios(太陽)の名を負った欧名「Heliozoa」の直訳ですが、その姿を見れば、名前の意味するところは一目瞭然です。


球形の本体と、そこから伸びる無数の軸足。内部で絶えず生じる原形質流動。タイヨウチュウもまた、それを可能にするエネルギー代謝こそが、その生を支えています。


こうして比べてみると、自然とはつくづく不思議なものです。
でも、マクロとミクロの太陽が、いずれも<球体と中心からの放射>という共通の構造、ないし形態を持つのは、たぶん我々の宇宙の基本構造――様々なレベルでの対称性――に根差すものであって、そこには偶然以上のものがあるのかもしれんなあ…と思ったりもします。

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ところで、タイヨウチュウをあっさり「原生生物の仲間」と呼びましたが、分類学の発展に伴い、「原生生物」も、その一グループである「タイヨウチュウ」も、近年になってその位置づけにドラスティックな変化が生じているようです。

海産動物ならなんでも「魚」、けもの以外の小動物はすべて「虫」と呼んでいた状態から、昔の博物学者の努力によって、より緻密で洗練された分類体系が生まれたのと同じようなことが、今、ミクロの世界で起きているのでしょう。

生物が生きているのと同様、生物学もまた生きています。
でも、その生を支えるものは何でしょう? 

コメント

_ S,U ― 2024年08月03日 17時03分31秒

ご参考になるかならないかわかりませんが、このタイヨウチュウのモデルが、ベータ線やガンマ線を放出する原子核に見えたので(1つの原子核からはさすがにこんなたくさんは出ませんが、たぶん数個です)、異なるスケール間の共通性についてご提示の問題提起に関連して、昔、原子核物理学の授業で始めに習ったことを思い出しました。

 原子核の最重要の特徴は、大きさ(あるいは質量数)にかかわらず密度がほぼ一定であるということです。これは、構成要素が弾性のようなものを持っていて、全体を引き締める引力のようなものとつねに安定したバランスにあるイメージで可と思います。生物もだいたい水で出来ていて、細胞は膜に閉じ込められていてその性質がどれも似たり寄ったりなら、密度一定となると思います。恒星は赤色巨星やミラ型変光星のようなものもあるので一概にいえませんが、太陽の密度はここのところは一定で、活動が激しくなったからといって全体がふにゃふにゃ伸びる心配はありませんね。イメージですのであまり深く突っ込まないでください。

_ 玉青 ― 2024年08月04日 11時37分36秒

いやあ、あまり深いツッコミはなし…というのは、私の方も同様でして、最近は暑さゆえの戯言も多いので、なるべくゆるく見守ってください(笑)。

_ S.U ― 2024年08月04日 14時41分21秒

はい、涼しくなってから、連想が繋がって何か浮かべばもっけの幸い、何も起こらなければ、真夏の記憶としてそれも良し、ということでお願いします。

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