火星の運河を眺める ― 2024年11月30日 18時20分38秒
上海天文館について、ああだこうだ言いましたが、もちろん我が家にあれだけの質・量のコレクションがあるわけではありません。でも、上海天文館は建物も予算も、我が家とは4桁ぐらい違うはずなので、あの1万分の1に達していれば、「上海天文館と同規模のコレクション」と称しても良い理屈です(そんなこともないか…。でも、単位面積で比較すれば同等のはずです)。
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そんなわけで、上海ほど由緒正しい品ではないにしろ、我が家にもささやかな火星儀があります。
立派な架台もないし、直径90mmの小さな球体に過ぎませんが、あの「なつかしい火星」の表情をよく捉えています。
素材は樹脂で、アメリカの3Dプリンターメーカーが設立した子会社(だと思うんですが)「LittlePlanetFactory」が生み出した、商品名「Lowellian Mars」。
その名は、火星の幻の運河を追い続けた天文家、パーシヴァル・ローウェル(Percival Lowell、 1855-1916)に由来します。
(よく見ると3Dプリンターによる積層の跡が同心円状に認められます)
制作にあたっては、近年の観測データを火星のテクスチャーのベースとして採用し、そこにローウェルの『Mars』(1895)掲載の運河図を重ねてプリントするという凝った作りで、なかなか真(?)に迫った火星儀ではないでしょうか。
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この品は数年前に購入したものと記憶しますが、今回記事を書くために検索したら、親会社であるShapeways 社は今年の7月に破産【参考LINK】、そしてLittlePlanetFactory もHP【LINK】は辛うじて残っているものの、全製品が「SOLD OUT」になっているのを発見しました。
まことに諸行無常の世の中です。
でも、こうなってみると、それでこそ果敢なく消えた火星の運河の思い出にふさわしい品であるような気もしてきます。
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