ジョバンニが見た世界…ラポルト作『大宇宙天文図解』(2)2008年07月30日 20時43分26秒

どうも一昨日の写真は、背景がごちゃついて、垢抜けませんね。
腰板のついた白壁なんかに掛けると、「掛けまさり」するんでしょうが、今の私の部屋にはそもそも無地の平面がないので(昔はあったんですが)、こういうものを常時飾って悦に入ることができません。寂しいことです。

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さて、上部中央に描かれたメインの円形星図のアップ(部分)。

ご覧の通り、非常に特殊な図で、太陽系と星座図が重ねて描かれています。
星座図の方は、天の北極が中心ではなくて、どうも古典的な黄道座標で描かれているようです。星座も地上から見上げた形ではなくて、左右が反転しています。天球を宇宙の外から、いわば神の視点で描いたデザインで、これまた星図としては至極古風な表現。

いったいどうしてこんな図が描かれたのか?
「太陽系は銀河系のどこに位置するか」というのは、なかなか決着がつかなかった問題で、銀河系の中心付近にあるという説も根強かったので、作者ラポルトは、この図によってそうした見解を主張したかったのかもしれません。あるいは、そんなに深い意図はなくて、太陽が中心に輝き、そこを銀河が真一文字に貫くという、純粋に見た目の美しさを表現したかっただけなのかもしれませんが…。

星図としては利用しにくく、第一見にくいのですが、とにもかくにも「大宇宙」を視覚化したいという、やみがたい衝動のなせる業なのでしょう。少なくとも紙面を節約したいという、セコイ動機ではなかったはずです。

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ところで、今日は昼から早退して、宵闇迫る頃まで泥のように寝ていました。だいぶ疲れがたまっていたようです。
とにかく暑いです。皆さまもどうか御自愛ください。

コメント

_ S.U ― 2008年07月30日 22時44分25秒

こんばんは。暑いですね。お大事になさってください。
 この星図はめずらしい形式のもののようですね。19世紀にあって復古趣味なのでしょうか。
目を凝らしてみると、周りに月名が書かれていて、OCTOBREとNOVEMBREの境目が
真上に来ているようですが、正しいですか?これはどういう意味なのでしょう。黄道上の
太陽位置との関係で銀河が真横になっていることと関係あるのでしょうか。

_ 玉青 ― 2008年07月31日 07時20分36秒

ありがとうございます。ヒトは熱帯起源らしいですが、こんなにも暑さに弱いというのは、いったいどういうわけでしょう。。。

さて、この図は、意図的に復古趣味を目指したわけではないんでしょうが、結果的に復古調になっていますね。

円周上には、黄道12星座と月名が配置されています。何か中途半端な位置が真上に来ていますが、これはおっしゃる通り銀河ができるだけ水平になるように決めたのではないでしょうか。

それにしても、黄道を基準にしても、銀河はこんな風に真一文字にならないと思うんですが…。ひょっとして銀河座標?にしては、星座の配列が変なような。結局よく分かりません。

(銀河座標の考え方自体は、当時すでにあったらしく、今、1875年に出た天文学辞典(Lardner編、Hnadbook of Astronomy、第4版)を見たら、"Galactic circle and poles" として項目立てされていました。)

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