暦のはなし(6)…星学生まれ旧暦逝く2009年01月08日 20時26分02秒

暦の話でだいぶひっぱりますが、今日は明治5年(1872)の暦。

これは記念すべき暦です。
何となれば、これこそ最後の旧暦だからです。
飛鳥時代に、日本で暦が使われるようになってから、千二百有余年。この明治5年は、日本で太陰太陽暦が使われた最後の年にあたります。

発行元はちゃんと「大学星学局」に直ってますね。
でも、その側には「文部省天文局」の改め印。

明治3年に「大学暦局」から「大学星学局」へと改称されたばかりの編暦担当部署ですが、その後さらに「南校天文局」、そして「文部省天文局」へと、短期間のうちに組織は猫の目のように変遷を遂げます。

「天文学」というのは、古代中国にまで遡る古い言葉ですが、外来のAstronomyを指すにはふさわしくない…と思った人がきっといたのでしょう。明治時代には、天文学と並んで「星学」という言葉がよく使われました。

   ★  ☆

「星学局」。なくなったのが惜しい、実にいい名前ですね。

丘の上のハイカラな建物に「星学局」の看板がかかり、そこでは夜毎、筒先を天空に向けて、大勢の博士たちが星界の声を聞き取ろうとしている…そんな子どもっぽい想像を浮かべたりします。

【付記】別に子どもっぽくはないか。これは普通に天文台ですね。

コメント

_ S.U ― 2009年01月08日 22時29分30秒

「天文学」と「星学」の響きの違いは、「天文」と「天体」の違いに発するような感じです。「天体」というのは見えるがままの物体のことですが、「天文」というのはその奥にある「理」や法則にも目をむけているということでしょうか。でも、法則だなんだといっても、結局は空に見えるのは天体だけ。そういう意味で、「星学」というのはいさぎよくて良い響きだと思います。

>大勢の博士たちが星界の声を聞き取ろうとしている…そんな子どもっぽい想像

子どもの気持ちになったつもりでの想像では、星学局の博士たちは、老人で、白衣を着ていて、それに白いひげをはやしてくれているとさらにいいです。でも、現代の天文台の博士は、けっこう若くて、セーターを着ていて、はやしているとしても黒いひげでしょう。(もちろん、それでよろしいけど)

_ 玉青 ― 2009年01月09日 20時59分35秒

そうそう、で、前者は必ず「~じゃ、~じゃよ」というのを、語尾にくっつけて話すんですね(笑)。

  +

「天文」と「天体」。なるほど、仰るとおりです。「天文」とは、「天の文(あや)」なり。
やっぱり、天文も含蓄のある、いい言葉ですね。

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