理系アンティークフェア in ロンドン2012年04月29日 08時45分51秒

連休に入り、早くも夏のような天気です。
久しぶりの記事なので、ちょっとのんびり気分で書きます。

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ネットで検索すると、「理系アンティーク」という言葉は、現状では、その筋のショップ関係者によって使われる例が多いようです。たとえば、今や老舗の観のある、ル・プチ・ミュゼ・ド・ルさん(http://www.petit-musee-de-lou.com/)や、あのラガード研究所さん(http://lagado.jp/)など。あるいは、最近個人的に注目しているトロワ・ブロカントさん(http://trobro.kakuren-bo.com/)では、「サイエンス系アンティーク」という表現をされていますが、これも同じ意味合いの言葉でしょう。

ともあれ、その用例はごく狭い範囲にとどまっており、一般的な用語とは言い難い。
これは端的に言って、市場規模の小ささを物語るものだと思います。そもそも、「理系アンティーク」という語のネット上での初出が、グーグル先生曰く、この天文古玩の2006年4月4日の記事(http://mononoke.asablo.jp/blog/2006/04/04/315295)だそうですから(あらビックリ)、いかにその市場が幼弱であるか、分かろうというものです。
 
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もちろん、これは日本限定の話で、欧米ではその種の店も多く、マーケットとして古くから確立しているらしいことは、これまでも何度か話題にしました。
そして、そこで取り扱われる商品に関しても、日本ではどちらかと言えばシャビー寄りの「古物の美」を愛でる路線が中心ですが、欧米では、黄金をあざむくような真鍮の輝きを愛でる「王道アンティーク」が主体で、そうした背景の違いも目につきます。

そんな海の向こうのマーケットの姿を実感できる催しが、今日これから始まります。

Antique Scientific Instrument Fair
 http://www.scientificfair.co.uk/

(すみません、以下、写真は勝手に貼らせていただいています)




この市は、ロンドンで半年ごと(4月と10月)に開かれているもので、今回の参加業者は38店舗、主催者は「この種のものとしては世界最大」と胸を張ります。(たぶんアメリカやオランダあたりでも、似たような催しはあるでしょうが。)

以下、トップページより。

 「この市には世界中からディーラーとコレクターが集まり、科学・医学・技術関連のアンティーク機器から成る、驚くような展示が行われます。
 そこに並ぶのは、顕微鏡、望遠鏡、海事関連品、測量機器、地球儀・天球儀、薬学・医学用セット、静電関連機械、幻燈、覗きからくり、栓抜き、時計、コンパス、建築用製図器、書籍、定規、オーラリー、計算機、古い電信装置…などなど。そして、それらすべてが、わずか2~3ポンドから購入できるのです!
 この市も今年で26年目、この4月の市は52回目のイベントになります。」

ああ、行ってみたいなあ…と思いますが、行ったにしても、財布の中身が付いていきませんし、仮に多少の持ち合わせがあったとしても、買った物を置く場所がすでにありません。それでも、こういう空間に身を置いて、同好の士と時間を共有するのは、きっと楽しい経験だろうと思います。

今日、ロンドンに行かれる方は、ぜひラッセルスクエア駅から徒歩3分の会場にお越しいただき、その実際をご覧ください。(ちなみに次回は10月7日)