天体議会の世界…ペンシルロケット(2)2013年09月10日 22時12分06秒

昨日登場した白銀のペンシルロケット。
なかなかスマートでカッコいいと自画自賛していますが、昨日の記事には一つ嘘が交じっています。

もうお分かりの方もいらっしゃるでしょうが、あのロケットは空を飛びません。いや、ひょっとしたら、お尻から火薬をギュウギュウ詰め込んで火を着けたら、ちょっとは飛ぶかもしれませんが、本来の目的は飛ばすためのものではありません。

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あれの本来の姿はこちら。


逆光で見にくいですが、このロケットは旧ソ連(1970年代頃)の土産物の一部を取り外したものです。底部の「噴射口」は、台座に留めるためのネジ穴。ここにカプセル状の燃料を装填して云々…というのは、私の単なる妄想です。

この土産物は、もともとモスクワの南西、約150キロの所にある、カルーガという町に立っているモニュメントをかたどったもので、現物はこんな姿をしています。


このモニュメントの主こそ誰あろう、偉大なる「ロケット工学の父」、コンスタンチン・ツィオルコフスキー(1857-1935)その人です。
彼自身は、実際にロケットを飛ばすところまで行きませんでしたが、早くも20世紀初頭に、液体水素と液体酸素を燃料とする、現代に通じる流線型ロケットの設計図を発表しており、ここにそびえるロケットの像は、その偉業をたたえるものです。

(ミニチュアのツィオルコフスキー)

(この土産物は、ソ連では一時非常にポピュラーだったらしく、かつてブレジネフとキューバのカストロ議長が会見した場面にも写り込んでいます。)

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今回は、なかなかイメージに近いロケットが見つからなかったための、苦肉の策でしたが、さらに屋上屋を架すが如く、「エスビット」などという、一見どうでもいい小道具をなぜ付け加えたかというと、ロケットとは関係ありませんが、ぜひこの機会にご覧いただきたいモノがあったからです。

(話題を転じつつ続く)