Wandering Parcel2014年03月06日 22時39分59秒



 フープ博士が月へ向けて故郷の街を出発してから、二年の歳月が流れた。その間、何の知らせも届かなかった。人々は探検が失敗したものと思い、偉大な科学者の死を悲しんだ。

 そんなある日、もはや解散寸前となった科学探検倶楽部のもとに、一通の手紙が届けられた。どこをどのようにして配送されて来たかは不明だが、様々な異国のスタンプがびっしりと押され、まっ黒になった手紙の差し出し人の名を見ると、Doctor Hoop on the Moon, と、ペン書きされていた。

   (たむらしげる「月からの手紙」、『フープ博士の月への旅』、青林堂、1980所収)


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先月の初め、ドイツから荷物(星座に関する本)を送ってもらいました。
それが待てど暮らせど来ないので、先方にトラッキングナンバーを確認しました(3度聞いて、3度目にやっと教えてくれました)。

さっそく追跡してみたところ、ドイツからは難なく飛び立ったものの、なぜか降り立った先はカナダ。そのままカナダの税関を通って(それも解せない話)、ひと月たった今もカナダの郵便局にあると知って、ちょっとやるせない思いです。

しかし、最初はカナダの大西洋岸にあった荷物が、今は太平洋岸の都市までにじり寄って来ていることを、トラッキング情報は告げています。このまま太平洋を越えて、日本まで送り届けるつもりかもしれません。あるいは結局ドイツに返送されるのか?はたまた「彼」は、更に多くの国を経て、たくさんの土産話を携えて日本にやって来るのか?

何だかやけに長くなったトラッキング情報を見て、フープ博士のことを思い出しました。

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今回の配送業者はDHLですが、DHLは以前も同じようなミスで、到着が大幅に遅れたことがあります。ネット上でもあまりいい評判を聞きませんし、DHLはちょっと鬼門です。とりあえずフープ博士の手紙を待つつもりで、もう少し待ってみます。