夢の世界星座早見(1)2014年05月11日 19時58分33秒

星座早見というのは、いつでも、どこでも使えるものか?
今更ですが、もちろん前半はイエスで、後半はノーです。

まず「いつでも」使うことはできます。そもそも、星座早見は24時間・365日、その時々の空に見える星を知るための道具ですから、ある意味当然です。

しかし、「どこでも」使うことはできません。星の見え方は、地球上のどこから見るかによって、全く違うからです。たしかに星が天の北極・南極を中心にグルグル回っているのはどこでも一緒ですが、天の北極・南極の位置が、緯度によって変わってしまうからです。

北極に行けば頭上に北極星が輝き、北天の星が1日中沈むことなく、その周りを回り続けています。しかし南天の星は1年中見ることができません。
赤道に行けば、南北の地平線上に天の両極があって、全天の星が地平線から次々に上り、次々に沈むことを繰り返しています。

まあ、日本の国内であれば、そう大きな違いはなかろうと割り切って、東京(あるいは明石)を基準に作られた星座早見を、全国どこでも使い回していますが、さすがに沖縄まで行くと、本土の星座早見では無理があるので、沖縄県用の早見盤というのも存在します。

ちょっと余談ですが、鹿児島の旧制七高(現・鹿児島大学)の寮歌に、「北辰斜めに」というのがあります。

  北辰(ほくしん)斜にさすところ
  大瀛(たいえい)の水洋々乎(ようようこ)
  春花(はるはな)薫る神州の
  正気(せいき)は罩(こも)る白鶴城(はっかくじょう)
 <以下略>

鹿児島では本州に比べ、北極星の高度が低い事実を詠み込んだもので、南への憧れを誘う良い歌詞です。

   ★

…というわけで、どこでも使える「世界星座早見」は作れないというのが、理論的帰結なのですが、しかしそれでは困る人も出てくるわけで、先人なりに努力を重ねた末に生まれたのが、下の「WORLD WIDE PLANISPHERE」。
見れば確かに「南北全緯度用」を謳っています。


下の方に軍艦と軍用機が描かれているのがポイント。
時は1943年。第二次世界大戦のさなか、世界中に散った米国軍人は、どこでも簡便に使える星によるナビゲーションツールを求めていました。その声に応えて、ヘイデン・プラネタリウムの元学芸員、バートン氏が編み出したのが、この星座早見です。

(この項つづく)

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