『世界《宇宙誌》大図鑑』…宇宙イメージ総まくり2023年09月10日 19時36分11秒

ブログを休んでいる間も、天文アンティークに関連する品を買い続けていました。
そうやってモノを探しているときは、「うーむ、何かこうグッと来るものはないかなあ…」とかなんとか、心の中でブツブツ言いながら探すわけですが、そういうときに参考書があると大いに助けとなります。

それは星図のコレクターズガイドであったり、博物館の所蔵品カタログであったり、天文学の歴史をテーマにした展覧会の図録であったり、もちろんそこで目にするのは私の懐を超えた品が多いのですが、少なくとも品物探しの指針にはなるし、そうした本を眺めること自体、楽しい経験です。今ではネット上に関連情報も多いですが、私はやっぱり紙の頁をパラパラやりたいので、天文アンティークを探すかたわら、そういう本も目につくと、なるべく買うようにしています。

最近も、古今の天文イメージを満載した素敵な本を見つけました。


■Michael Benson
 Cosmigraphics: Picturing Space Through Time.
 Abrams (NY), 2014

出版されたのは2014年ですから、もう10年近く前ですが、以下の紹介記事を読んで、これはぜひ読んでみたいと思いました。

Cosmigraphics: Picturing Space Through Time in 4,000 Years of
  Mapping the Universe

よし、早速アマゾンでポチッとするか…と思った直前、同書には邦訳が出ていることに気づきました。


■マイケル・ベンソン(著)、野下祥子(訳)
 『世界《宇宙誌》大図鑑』、東洋書林(2017)

タイトルも、表紙デザインも、大きく違うので、最初は同じ本と気づきませんでしたが、書誌情報を確認すると正しく上掲書の翻訳で、こちらは5年前に出ています。

実際に読んでみて、これはよく出来た本だと思いました。
上の写真にあるように、今では珍しくなった紐のしおりが2本付いているのも、些細なようでいて、読む際に便利な工夫のひとつです。


(上図の一部拡大。右下の注記に注目)

そして同一資料から複数の図版を引用している場合は、それぞれ相互参照できるよう、必ず注記があり、さらに巻末の索引もしっかりしているので、資料的価値が高いです。

本書はテーマ別・時代別の2本の軸で構成されていて、これも読みやすい工夫です。
テーマ別というのは、第1章の「創造」から始まって、地球、月、太陽、宇宙の構造、惑星と衛星、星座・獣帯・天の川銀河、食と太陽面通過、彗星と隕石オーロラと大気現象の全10章がそれで、各章の中では図版が時代順に配列されています。



中世写本に描かれた不思議な彩色図。
19世紀の天文古書にあふれるロマンティシズム。


そして1980年以降の惑星探査機がもたらしたリアルな惑星画像や、2000年以降にスーパーコンピューターが生み出した銀河や宇宙の大規模構造に関するヴァーチャルなイメージまで―。

天文アンティーク渉猟の参考として買った本ですが、これはそれ自体美しく、また精神を高揚させる本だと思いました。(そしてやっぱり参考になる部分があって、本書で知った本を新たに注文しました。)

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