続・『星界の絵地図』…月面の奇観2007年05月28日 20時48分31秒

スウェーデン語版より月面の光景。
本書の版型は、大版のフォリオ(二つ折り版)ですが、その見開き大画面いっぱいに描かれた峨々たる景色です。

19世紀も末になると、さすがに「月世界人の都市」など信じる人もなく、荒涼としたリアルな月世界のイメージが人々に共有されていたことがわかります。

月の地平線上には、地球が太陽よりもはるかに大きく浮かんでいますが、月から見た地球は、当時人気のあった画題。

1950年代の宇宙開発ブームに目を輝かせたのは、この本の愛読者の孫ぐらいの世代でしょうが、19世紀の少年少女も、こうした想像画を見て「科学の夢」に胸を膨らませたのでしょうね。

ところで、このクレーターの描き方は、隕石衝突説ではなく、火山説に拠ったもののようで、縁取りがかなり不整形です。理論が実際の見え方を歪めた例といえるかもしれません。