賢治の抽斗(第3夜)…懐中星座早見2013年06月21日 21時29分50秒

鉱物につづき、これまた賢治作品の主要モチーフである<天体モノ>も、彼の抽斗には欠かせないところ。で、これについてはあまりひねらずに、星見の友である星座早見盤をラインナップに加えようと思います。

賢治自身、星空を見上げる際には早見盤を愛用しており、「銀河鉄道の夜」を書く際も、それを傍らに置いていたらしい…というのは、以前も書きました。そして、この連載のポイントは「かさ張らないこと」ですから、ここではなるべく小ぶりで、気の利いたものを選んでみます。

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以前、フィリップス社の星座早見を取り上げたことがあります。


↑と↓はいずれも既出で、それぞれ元記事は以下。
http://mononoke.asablo.jp/blog/2011/12/23/6258104
http://mononoke.asablo.jp/blog/2012/02/04/6321064


紺地に白の星図、黒いカバーに金文字の配色がきわめて美しい、星座早見史に残る傑作だと思いますが、この早見盤には一種の“懐中版”が存在します。


通常版は、円盤部の直径が25cm強なのに対し、懐中版の方は12.5cmと、約半分の大きさ。これぐらいの大きさならば、コートのポケットに、すっぽり入りそうです。文字通り「ポケッタブルサイズ」というわけで、旅先へ携行の便を考えた品なのでしょう。


ですから、先日のお菓子の缶にも、ちょこんと入ります。


小さいとはいえ、星座早見盤としての機能は通常版に劣りません。
5等級までの星と、かそけき銀河が、小さな円盤上に律儀に表現されています。
ただし、あまり数が作られなかったのか(需要がなかったせい?)、現在マーケットで出会う頻度は、通常版よりもぐっと低いようです。

(使用法を説明した裏面)


鮮やかな色の対比が、これまた実に洒落ていて、ハイカラ好みの賢治さんも、必ずやお気に召すことでしょう(星図部分の地色は、紺というよりも、深緑を帯びています)。

(この項まだつづく)