フィリップス問題(1)2016年12月06日 11時52分40秒

星座早見盤は、天文アンティークの王道。
中でもフィリップス社の星座早見盤は、今や天文アンティークの店では「標準装備」となっていて、実際に購入される方も多いでしょう。

しかし、私の中で長くくすぶっている問題があります。
それはフィリップス社の星座早見盤が作られたのはいつか?という問題です。

ネット等でフィリップス社の星座早見盤が売られているとき、その製造年代に関する商品説明は、しばしば曖昧で、ときに互いに矛盾します。これは国内・国外を問わずそうで、売り手は先行するネット情報を参照して書くことが多いのでしょうが、その先行情報自体があいまいなので、いきおいそういうことになります。

それに売り手の立場に身を置くと、できるだけ商品に箔を付けたい――すなわちより古い時代のものと主張したい誘惑にかられることもないとは言えませんから、その辺で情報の不確かさが増幅される面もあるのでしょう。


フィリップス社の古い星座早見盤にも、いくつかタイプがあって、基本的には装飾的なフリルのついたタイプ(左)と、フリルのないスッキリしたタイプ(右)の2種に分けられます。さらに現行のものは(私は持っていませんが)下のように全体が丸い形をしています。これらをそれぞれ「フリルタイプ」、「スクエアタイプ」、「ラウンドタイプ」と呼ぶことにしましょう。

(1982年版としてeBayに出品されていた品)

私はこれまで漠然と、フリルタイプは1890~1920年代、スクエアタイプは1920~1950年代、ラウンドタイプは1960年代以降のものと見なしていたのですが、それをしっかり跡付けたことはありませんでした。

今回、その点にちょっと深入りをします。

(Wikipediaの「Planisphere」の項(https://en.wikipedia.org/wiki/Planisphere)に出ているスクエアタイプの品。果たしてこれをキャプション通り「1900年頃」としてよいか?)


(この項つづく)