Sonne Mond und Sterne … 8年目のありがとう ― 2021年02月06日 14時39分06秒
こういう見る人の少ないブログでも、長く続けることには少なからず意味があります。
長く続ければそれ自体が歴史となり、そしていったん歴史となれば、そこに不思議な偶然や嬉しい偶然が折々生じて、私の生活(大げさに言えば人生)を彩ってくれるからです。
先日、時計モチーフの蔵書票の話題の中で、関連する過去記事を見返していました。
それは関根寿雄氏の版画集『星宿海』を採り上げた記事ですが、思えば今からもう8年も前になるのですね(LINK)。
その記事へのコメント欄の中で、ハンドルネーム ao さんから頂いたコメントを再読し、「そうだ!この本に言及するのを忘れていた!」と思い出した本があります。それは星空を抒情的に描いた作品として、決して落とすことのできない絵本で、aoさんに教えていただき、当時さっそく入手したのでした。
■Lore von Recklinghausen(著)
『Sonne, Mond und Sterne(太陽・月・星)』
Volksverband der Bücherfreunde Wegweiser Verlag (Berlin), 1925.
32p.
『Sonne, Mond und Sterne(太陽・月・星)』
Volksverband der Bücherfreunde Wegweiser Verlag (Berlin), 1925.
32p.
(タイトルページ)
著者のローレ・フォン・レックリングハウゼンは伝未詳ですが、この1925年の『太陽・月・星』をはじめ、1930年代~40年代初めにかけて、数冊の児童書を著わした女性。
ご覧のように横長の判型で、左側に文章、右側に挿絵が来る体裁で全体が統一されています。
(北極星の話に耳を傾けるグレーテ)
ストーリーはごく単純です。
ある晩、グレーテという少女が、お母さん(お母さんもグレーテという同じ名前)から星々の物語を聞かされて興味津々、もっともっととせがむのですが、「お母さんだって何でも知ってるわけじゃないのよ」と、軽くいなされてしまいます。その夜、彼女は不思議な星の車に乗って天界を訪問し、太陽や月、惑星や星座たちの物語をたっぷり聞かされて、途中で道に迷いながらも、最後は無事我が家に戻り…ラストはお約束の夢オチです。
この本で特筆すべきは、何といってもその美しい挿絵。
この本の発行は1925年ですから、アール・ヌーヴォー(ドイツ風にいえばユーゲントシュティール)の時代からは、いささか外れますが、その余流を思わせる流麗で繊細な絵柄は心憎いばかりです。そしてもう一つの特長は、挿絵がすべて石版だという点。絵柄ばかりでなく、その刷り上りも実に美しいです。
この美しい本は、特に稀本ではありません。今でも普通に古書マーケットに流通しており、値段もそう張らないので、星好きの人はぜひお手元に置かれてはどうでしょうか。
素敵な出会いをいただいたaoさんに、改めて8年目のありがとうを捧げます。
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