古玩老人は語る2009年10月24日 10時26分18秒

(↑書斎の Sir Fitzroy Maclean. 出典:At Home with Books, 1995
 -写真は本文とは関係ありません-)

最近はオークションで負けることが多いです。
足りないものはたぶん気迫です。

私が買うのは主に古い物で、いわゆる一品物ですから、別に定価はないのですが、そこには自ずと相場というものがあって、その相場にいくらプラスして入札するか。上で言う「気迫」とは、具体的にそのプラスαの額のことです。

eBayだと、ヤフーオークションのような時間延長がないので、終了時刻の2秒前に入札して、すんでのところで競争相手を出し抜くといった手も頻繁に使われますが、やはり基本は気迫です。気迫さえ込めれば、すばしこい相手にしてやられることもないのですが、最近はあまり気迫を込めないので、連戦連敗です。

それでも、この頃は一時期に比べて物欲もマイルドになってきたので、昔のように怒髪天を衝くこともなく、苦笑いで終わることが多いです。…と、あえて余裕めかして書くのは、ちょっと怪しい証拠ですが、でもいくぶん買物の質が変わってきたのも確か。

私の古玩ライフも、はや老境にさしかかり、新奇な品を買うことに執着するのではなく、これまで買った物と縁側で戯れるようなフェーズに入ってきたのかもしれません。

理科室風書斎に好々爺然と収まり、ある日老眼鏡をずり下げた状態で、眠るがごとく死んでいるのが見つかる…なんてどうでしょう?
「彼は血の通った者から生れ、剥製と人体模型に看取られて死んだ」と墓碑銘に刻んでもらうというのは?