コペルニカン・アーミラリー2012年09月09日 19時33分41秒

今日は一日ボーっとしていました。
夏は過ぎましたが、何となく蒸し暑くて気鬱なので、実験室の記事はお休みにします。
その代わりに、夕闇せまる中、部屋の隅にたたずんでいるモノを撮影しました。


銀色のオブジェと背後の闇の対比を狙ってみたのですが、これはちょっと狙いすぎ。分かりにくい写真になったので、パチンとライトをつけると、全形はこんなモノです。


表面はクローム仕上げで、全体の高さは約63cm。
銀色の球を中心に、9つの輪が周囲をクルクル回るようになっています。言うまでもなく、中心にあるのが太陽で、周りのリングは惑星(冥王星を含む)の軌道を表現しています。といっても、リングそのものが軌道を表しているわけではなくて、各リングの「赤道」が空中に描く、まあるい軌跡が、惑星の軌道に相当します。

通常のアーミラリー・スフィア(↓)が、天体の動きを地球中心に表現しているのに対して、これは太陽中心のコペルニクス的宇宙像を表現しているので、「コペルニカン・アーミラリー」と呼ばれます。

(出典: Wikipedia アーミラリー・スフィアの項より。http://en.wikipedia.org/wiki/File:EB1711_Armillary_Sphere.png

天文アンティークの老舗、ニューヨークのGeorge Glazer Galleryのサイトにも、ほぼ同じ品が紹介されていますが(http://www.georgeglazer.com/globes/archive-planetary/chromearm.html)、そちらは中心の太陽が金色ブラス仕上げのバリアント。George Glazer Galleryは、「20世紀第4四半期の品」と律儀に記載していますが、要するに今出来のものです。

ここまでデザイン化が進むと、もはや天文学習とは関係のない、純然たるデコレーション用と思えるので、理科室趣味的にはちょっと微妙な存在です。
それにこの品、重心が高いので、けつまずいてよくガシャンと倒します。


見ようによっては渋いのですが、最近はやや持てあまし気味。