改めてアンティーク星図の話(3)…収集の手引書2012年09月23日 09時53分21秒

前回の記事の末尾で「ハウツー」と書きました。
でも、私自身にそのハウツーがあるわけではありません。そもそも、私はアンティーク星図のコレクターではなく、たくさんの星図を手元に置いているわけでもありません。

しかし、これからアンティーク星図のコレクションを始められる方に何か有用な情報を…と考えたとき、絶対の自信を持ってお勧めできる本があります。

それはNick Kanas 著、『STAR MAPS: History, Artistry, and Cartography』(Springer)です。初版は2007年、初版の改訂版が2009年に出た後、初版に全面的に手を入れた「第2版」が今年出たばかりです。

(左:2009年改訂初版、右:2012年第2版)

Kanas氏の本業はカリフォルニア大学に籍を置く医学者ですが、星図コレクターとしても筋金入りで、本書に収められた大量の図版は、大半が氏の個人コレクションから採ったものです。

(多数のカラー図版も載っており、参考になると同時に目を愉しませてくれます。)

本書は、星図史全体の歴史的叙述、各星図の書誌、星図作者の伝記事項を遺漏なく盛り込んだ、大変な情報量の本です。巻末の付録・索引も完備しており、冒頭から通読しなくても、星図コレクションの際のレファレンスブックとしてだけでも大いに役立ちます。私は著者にも出版社にも、別に何の義理もありませんが、これだけの本(第2版)が、アマゾン価格で現在3,015円だというのですから、買っても決して損にはならないでしょう。

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『STAR MAPS』の巻末付録Aは、レファレンスも含めて7ページほどの短い文章ですが、「星図の収集 Collecting celestial maps and prints」という表題で、非常に実践的な内容ですので、私自身の私見もまじえながら、その内容をかいつまんで見てみます。

(他人のふんどしを借りつつ、この項つづく)