土の思い出 ― 2013年11月21日 21時10分15秒
ふだん記事に登場しない品といえば、これなんかその最たるものかもしれません。
いつもは先日のテルリオンと並んで、本棚のてっぺんで所在無げにしています。
これは何か?といえば、もちろん化学実験用の漏斗(ろうと)台なんですが、その上に置かれた、調理用の漏斗とざるはいったい…?
ここに写っているモノの正体は、「ツルグレン装置」、すなわち土壌動物を採集するための道具です。このざるの上に落ち葉や土を載せ、上から白熱灯で照らしてやると、土壌中の小動物が熱や乾燥を嫌って下へ下へと逃げてゆき、ついには漏斗の下に置かれた水入りの小壜(ここには写ってません)にポチャン…という仕掛け。
★
これを最後に使ったのはずいぶん昔のことです。
使いもしない道具がいつまでも手元に置かれているわけは、私がものぐさなせいもありますが、それ以上に一つの時代を懐かしむ気持ちがあるからです。
まだ自分が若く、将来のことが遠くかすんで見えた頃。
あの頃なぜ土壌動物に強く惹かれたのか、今となってはよく思い出せません。
当時は陽の当たらない存在、暗く陰鬱なもの、それでいて何か命の根源に関わるようなものに心を奪われていました。何によらず死をテーマにした作品が好きでしたし、葬送と墓制の歴史なんかに夢中になっていました。
逆説的なようですが、若くて、元気が良く、死と遠い場所にいたからこそ、かえってそうしたものに惹かれたのかもしれません。
あの頃なぜ土壌動物に強く惹かれたのか、今となってはよく思い出せません。
当時は陽の当たらない存在、暗く陰鬱なもの、それでいて何か命の根源に関わるようなものに心を奪われていました。何によらず死をテーマにした作品が好きでしたし、葬送と墓制の歴史なんかに夢中になっていました。
逆説的なようですが、若くて、元気が良く、死と遠い場所にいたからこそ、かえってそうしたものに惹かれたのかもしれません。
きっと土壌動物熱もその延長線上にあるのでしょう。
結局のところ、地上の生物は死ねばすべて土になるのです。その物質循環の主役にして偉大なる分解者が土壌動物群であり、彼らが時に「地上のプランクトン」と呼ばれるのも、その故です。
もちろん、ツルグレン装置一つで土壌動物のすべてが分かるわけではありませんが、これはその道における最もポピュラーな道具ですから、わが人生における「土壌動物時代」の記憶を伝える遺物として、何となくシンボル的に置かれています。


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