星の煙をくゆらせる晩 (中編)2011年01月16日 14時22分32秒

いつの間にか外は真っ白。私の町では今シーズン初めての本格的な雪です。
あとからあとから舞い飛ぶ雪を見ながら、今日は静かに過ごしています。

   ★

「ほら。」
それは古びた真っ赤なブリキ缶でした。


そこには確かに 「WILLS’s “STAR” CIGARETTES」 という文字が、鮮やかに読みとれました。

「ボクの‘マイ・ドミノ’さ。 どう、1ゲームやろうか?」
ふたを開けると、真っ黒な牌が中でカキンと、澄んだ高い音を立てました。


「よし、マティーニでも賭けるか!」
勇んで牌に手を伸ばしかけた時、どこかでかすかな排気音が聞こえてきました。