原発甲論乙駁2011年04月16日 10時04分24秒

このブログの趣旨からは大きく外れますが、常ならざる状況ですから、ボンヤリ考えたことを、ここにメモしておきます。

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「東電は無能で、政府は嘘つきで、学者は恥知らずで、マスコミは無知で、国民はおめでたい。」人々の意見を総合すると、そういうことになります。そう叫ぶことで、ひとまず溜飲は下がりますが、溜飲の下がったところで、次にどうするか。

大切なのは「知る」ことでしょう。
でも、これがなかなか難しい。最近つくづくそう感じます。
飛び交う情報が、玉石混交だということは常識で分かります。でも、「常に批判精神を持って情報に接しなさい!」と言われても、この場合、知識のない者が、知識を得ようと思って読むわけですから、明らかに珍妙な文章でない限り(=内的整合性が破たんしていない限り)、読む時点で、内容を批判的に見ることは原理的にできないですね。そして、外的整合性を判断するには、他にもいろいろな知識のあることが前提で、これまた一朝一夕には難しい。

取りあえずの処世訓としては、
○お上の言うことは、割り引いて聞く。
○利害関係者の言うことは、割り引いて聞く。
○匿名の意見は、割り引いて聞く。
○すぐにレッテルを貼る人の意見は、割り引いて聞く。
○毀誉褒貶半ばする人の意見には、一片の真実がある。
○感情論は無視する。
○分かりやすいから真実とは限らない。反対に、分かりにくいから真実とも限らない。
○声の大きい人や、多数派の声が、常に真実とは限らない。逆もまた真。
…といったところでしょうか。

それと、今は政府がきちんとした数値を出していない(らしい)ので、それとの対比効果で、きちんと数値を挙げて解説してあると、それだけでいかにも正しい論と感じられたりします。たしかにデータを挙げて論じることは、この場合、最低必要条件でしょうが、『統計でウソをつく法』といった本も出ているぐらいですから、数字があるからと言って、それだけで無条件に信用できるものでもない。さらに踏み込んで、その数字の意味を考える必要があるはず。まあ、これは上と同じ理由で、すぐには難しいですが、一応心に留めておくべき点だと思います。