天文古玩・再考(6)…天体望遠鏡メモ(2)2011年04月29日 08時16分10秒


(photo by TOKO氏)

今日はメモの続きで、「アンティーク望遠鏡を知る」という内容。

まず真っ先に思い浮かぶのは、アメリカを中心に会員を擁する、Antique Telescope Society のサイトです(http://www.webari.com/oldscope/)。ここは相当ディープな会のようですが、残念ながら、サイトのコンテンツは必ずしも充実しているとは言えません。ライス大学との共同事業として、壮大なプランで建設が始まった「ヴァーチャル・ミュージアム」(http://www.polarisinteractive.com/vmht/)も、残念ながら工事が途中で止まってしまっています。

アンティーク望遠鏡の基礎知識ということなら、既出ですが、以下のサイトがよくまとまっています。17世紀から20世紀に至るまで、時代ごとの望遠鏡の相貌を一望できますし、これまで話題にした、スパイグラスやフェイク製品についての情報もあり、参考になります。

Antique Telescopes http://www.antiquetelescopes.org/


身近なところで、日本にも古い天体望遠鏡にのめりこんでいる方は、少なくありません。以下はその代表格、ガラクマさんのサイト。その掲示板では、毎日活発な情報交換が行われています。

昔欲しかった天体望遠鏡  http://yumarin7.sakura.ne.jp/

ガラクマさんは、ご自身の収集対象を「古スコ」と呼ばれていますが、ここで話題になっているのは、より一般的には「ヴィンテージ望遠鏡」と呼ばれるものかなと思います。

ちょっと話題がそれますが、「ヴィンテージ」と「アンティーク」の使い分けについては、以前話題にしたことがあります。上記のAntique Telescope Society が中心になって運営しているメーリングリスト上の議論を、適当訳したのが以下の記事。

古玩談義~アンティークとは何か(5)、(6)
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/11/12/1905570
 http://mononoke.asablo.jp/blog/2007/11/14/1909658
 ※上記は「アンティークとは何か(1)~(4)」に続く、議論の結論部分です。

江戸時代の岩橋善兵衛とかを除けば、日本における天体望遠鏡の製造は、大正時代の後半に始まったので、「100年以上古い物をアンティークという」という通説に従えば、日本生まれのアンティーク望遠鏡は事実上ないことになります。しかし、望遠鏡に関しては、「第2次大戦前に作られた製品を全てアンティークと呼んで差支えない」という説も有力なので、“古スコ談義”にはアンティーク望遠鏡も一部登場しています。

とはいえ、その登場の機会が少ないのは、やはり戦前の望遠鏡がきわめて希少だからでしょう。「この望遠鏡の値段で、当時は家が一軒買えた」云々という話を時折耳にします。まあ、戦前にも「子供向け望遠鏡」のマーケットはあって、全部が全部高かったわけでもありませんが、生産量が格段に少なかったことは確かだと思います。望遠鏡を含む光学製品は、戦後日本の花形輸出品目で、その生産量は膨大ですが、戦前は状況が全く違ったことに留意する必要があります。

   ★

なんだか内容が中途半端で、まとまりませんが、アンティーク望遠鏡を語るには、まだまだ全く経験が足りません。とりあえず望遠鏡の件はこれぐらいにして、次の話題に進むことにします。