思い出のグリーングラス2013年05月29日 19時41分00秒

突発事態が出来して、記事が止まっていました。
活版の話題は、画像を準備してから、改めてゆるゆると続けます。

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さて、当地はいよいよ梅雨入りしました。
雨露を宿した草の葉が風に揺れているのは、なかなか美しい光景です。

毎日、車窓から見る土手や空地はすでに緑の草でいっぱいです。
その中で、ひょろ長いイネ科の植物たちは、パッと見「いわゆる草」としか目に映りませんが、目を凝らせば、剛柔・高低・濃淡・粗密、その姿はさまざまです。ましてや特徴的な穂が出ていれば、実に個性的な一群だということが分かります。

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小さい頃バッタを飼っていて、餌を集めるために、しょっちゅう空地に草を採りに行きました。オヒシバメヒシバエノコログサカラスムギ…。あれが、私と「草」との出会いだったと思います。ですから、私はイネ科の植物を見ると、まっさきにバッタを連想します。

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下はイギリスの古い「草」の本。


Margaret Plues(著),
 British Grasses:An Introduction to the Study of the Gramineae of
 Great Britain and Ireland.
 『英国産禾(か)本類―グレートブリテン及び
 アイルランドのイネ科植物に関する研究入門』
 Reeve (London), 1867. 八折り版. 307p.


手彩色図版16葉を含む、イネ科植物の概説書です。




19世紀のイギリスの博物趣味は、鳥や蝶や貝のような大物から、苔やダニのようなマイナーなグループに至るまで、あらゆる領域に及んでいましたが、こういう本があるところを見ると、「禾本趣味」に耽溺する人も確実にいたのでしょう。




地味といえば地味ですが、何となく明朗かつ温和な趣味という気がします。