真夜中のプラネタリウム2017年06月05日 22時37分29秒

ブール・プラネタリウムの第2弾。
昨日とほぼ同じ構図ですが、これまたガラッと雰囲気が変わって、こちらはモノトーンの闇が支配する光景です。


今宵は星の光も地に届かず、空に雲がうねっているのが見えるのみ。
楽しいはずのプラネタリウムを、なぜこれほどまでにダークな存在として描いたのか?
その真の意図は不明ですが、この背景を描いた画家は、おそらくプラネタリウムを「夜の世界の住人」としてイメージし、そのようなものとして視覚化したかったのでしょう。

たしかにプラネタリウムは、「人工の夜」を作り出す装置ですが、だからこそ本来は、「昼の世界の住人」であるべきで、その辺のイメージの混乱がプラネタリウム草創期にはあったのかなあ…と、そんなことをチラと思いました。


裏面の解説を見ると、このプラネタリウムが、当時全米に5館しかなかったうちの1つであること、そしてその建設には110万ドルの巨費が投じられたことを、誇らしげに書いています。

ブール・プラネタリウムの建設は、大富豪ヘンリー・ブール氏の篤志に加えて、多くのピッツバーグ市民の協力があってこその壮挙であり、ここにもまた希望に満ちた「アメリカの夢」を見てとることができます。

しかし―。
その後のブール・プラネタリウムのたどった足取りを記したのが以下の記事で、読み返すと、やっぱり「夢」を見続けるのは、なかなか難しいことだなあ…と感じます。


■ブール・プラネタリウム…アメリカの夢、理科少年の夢。(前編・後編)