戦前の顕微鏡写真集(その4)2009年04月27日 19時49分08秒

そらまめの根端縦断。

唇のような、眼のような…
曖昧で茫洋としたタッチには、ルドンの版画のような幻想性すら感じます。
アーティスティックな味わいの1枚。

戦前の顕微鏡写真集(その5)2009年04月27日 19時50分26秒

すぎなの地下茎横断。
大小明暗さまざまな泡粒が無限に連なっているように見える脇に書かれた、凛とした解説文。

「すぎな(木賊科)の地下茎の徒手切片を作り之をサフラニン及びビスマルクブラウンを以て複染すべし、然る時は茎の表面には一層の表皮(E)ありて処々之れに毛茸(H)を有し、表皮下には数層の硬膜組織よく発達せり。…」

この字体と文体。
科学はかつて、このような外衣をまとっていました。

「サフラニン及びビスマルクブラウンを以て複染すべし!」
―何のためらいもなく、強く言い放つところが、かっこいいですね。