図鑑細見…カラー図版のはなし(3)2009年08月13日 20時10分32秒

(つづき)

さて、問題のフランスの甲虫図鑑。これはちょっと微妙です。
線刻と色版の2本立てという点ではクロモっぽいですが(そのため図がシャープな印象です)、色版は明らかに一種の網点ですね。でも、いわゆる3色分解ではなくて、クロモの点刻表現がさらに進化したもののようにも見えます。

印刷の実際を知らないので、これがどういう工程で刷られたものかは分かりません。
しかし、クロモと網点は、一見して感じるほど隔絶しているわけでもなくて、両者の中間的・過渡的な形態もあることがうかがえます。

結局、当初の目的だった年代判定は曖昧なままなんですが、少なくとも一部では、(業者の言を信用するとして)1950年前後まで、前代の印刷技法を受け継いだ方法が用いられていたことは、記憶されてもよいのではないでしょうか。

(何だか無知なまま適当に書いてしまいました。よろしくご叱正願います。)