天文学者は白髪頭か?…19世紀と20世紀(その3)2007年10月06日 19時30分13秒

文意が一貫しないので、記事のタイトルに則して整理すると、つまりこういうことです。

19世紀末も、20世紀初めも、いずれも天文学者に「白髪頭の老人」をイメージしたという点では五十歩百歩でも、それを是とするか否とするか、そこに時代の大きな変化があったのではないか…というのが、言いたかったことでした。

この間何があったのか?

1895年、パーシヴァル・ローウェルが『火星』を出版。火星の運河と火星人のヴィヴィッドなイメージがSFブームに火をつけ、「宇宙時代」の幕開けを人々に予感させます。(宇宙開発の父、ロシアのツィオルコフスキーがロケット研究に没頭しだしたのも同時期のことで、現実世界でもまさに宇宙時代が幕を開けようとしていました。)1903年にはライト兄弟の初飛行があり、そして運命の年、1905年。アインシュタインが特殊相対性理論を発表し、「科学の世紀」は華々しいスタートを切ったのでした。

天文学史上の意義から言えば、19世紀後半における天体物理学の誕生の方が、革命的な意味を持っていたと思いますが、ポピュラー・アストロノミーの分野で画期を成したのは、1900年前後の「宇宙時代 Space Age の始まり」というイメージで、それ以前とそれ以降とで、宇宙に向ける人々のまなざしが変わったのではないでしょうか。

昨日の表現を使えば、19世紀から20世紀をまたぐ間に、天文学は歴史性を帯びた古い学問から、最先端の「カッコイイ」学問へと装いを改め、そしてティコ・ブラーエの出る幕もなくなった…というわけです。

(この項つづく)

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